【レビュー】Acoustune HS1650CU:透明感のあるつややかみずみずしいサウンドが魅力。JAZZ好きに捧ぐ。

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免責事項

レビューは手持ちの機種と販売店舗さんのご厚意で試聴させていただいた範囲内の機種で作成しております。ケーブルは標準付属品のはずですが、セッティングは販売店舗さんにより異なる場合があります。イヤーピースは手持ちのものを使える場合は、それを用いてテストしております。レファレンスはJVC スパイラルドット++ Lサイズですが、機種によって使えない場合もあるかもしれません。使えない場合どうするかはその都度。

テスト機は基本的にAstell & Kern KANN CUBEを用いていますが、音質の特徴を捉えるために副次的にONKYO GRANBEATなど別のDAPも使っております。

一応解像度とかの比較用にイヤホンのレファレンスを定めていて、EarSonics ES5です。

スペック

  • ドライバー:ダイナミックドライバー
  • ドライバー構成:1ドライバー
  • 周波数特性:10Hz – 25kHz
  • インピーダンス:24Ω
  • 感度:110dB

使用感

装着感

装着感は完璧に耳に収まるというわけではなく、イヤーピース次第で若干浮き上がるところはある。それでも基本的には良好。

遮音性

耳への収まり具合にもよるが、そこそこ優秀な遮音性を持っている。

ビルドクオリティ

ビルドクオリティは文句なく高く、独特のメカニカルなデザインが非常にカッコイイ。

音質

総合:23/30
7.7/10

高域

8/10
8/10

クラッシュ感の強い、しゃんとした音を鳴らす派手めの高域

  • 質感:クール、硬質、ややシャリ
  • 明るさ:明るい
  • 拡張性:かなり良い
  • 派手さ:派手
  • 緻密さ:やや緻密

金管はかなり明るく吹き上がり、シンバルもクラッシュ感を強調し、強めにシャンシャンシャリシャリする元気な高域。ピアノもキラキラ感を少し強めに出しつつ、みずみずしい音を感じさせてくれる。なるほど、明るめのJAZZなんか気持ち良く楽しめそうな、透明感のある高域を持っている。

しかし、この非常に明るい高域は手がかりが多く、陽気であるが、シャープネスはよく調整されて滑らかになっており、耳への負担感はセーブされている。中域に近い高域では非常に開放的だが、本当に高い尖ったあたりに到達する前に美しく閉じて減衰する。

中域

8/10
8/10

清潔ですっきりと見通しの良い中域

  • 質感:クール、すっきり
  • 明るさ:明るめ
  • 横幅:広め
  • 奥行き:広め
  • ボーカル:明るめ、ツヤツヤ

この機種のサウンドステージ表現については肯定的意見が多く、比較的広く評価されている。場合によって価格帯随一に近い広大さを強調するレビューもある。たしかに優れた見通し感を持っており、個人的にそれらのレビューに同調したい気持ちもあるが、一方で、中域ではピアノ音の存在感が強く、その輝きによって音場のいくらかを覆い隠す印象も受ける。たしかにステージングは広いが、人によってはピアノやシンバルの印象に注目してしまいがちになり、やや近めに音を感じることになるだろう。そのため、広大なステージングを賞賛する声と見通し感の良さについて紹介しつつ、ここではあえて価格帯最高の広さとはしない。

さて、その中域だが音がすっきりと広がる清々しい、しかし場合によっては青々とした少し透徹した清潔感を持つ。音の厚みはわずかに感じられるが、基本的には中高域のツヤツヤ感や光沢感、潤いを強く意識させる質感を持っており、ピアノの光沢感やシンバルのシャリッとしたクラッシュ感が中域でも響くような透明感がある。ボーカルは甘味を強調するところ少なく、比較的すっきりしたクリーンボイスになり、伸びは良く透明感があるが、淡泊な印象を与える。

低域

7/10
7/10

見通しが良いクリアな低域

  • 質感:ややウォーム、クリア
  • 明るさ:明るめ
  • 重心:普通かやや高い
  • 重み:普通
  • 重低音:明るめ

低域は明るくクリアで見通しが良い。とはいえ、低域については一言で済ますのは適切でなく、些か印象について詳しく語る必要があるかもしれない。この低域についてはイヤーピースや音源によって変化が大きく見られたためである。

この機種の低音は基本的に暖かみがあるという評価が一般的だが、しかし、ダイナミックドライバーらしく中低域に膨らみを出して暖める感じかというと、そうではない。むしろ中低域は抑制的で重低域の広がりを感じさせる音であり、しかも浮き上がりがよく、深みを感じさせてもあまり重みを感じさせずに音が帰ってくる。少なくともレファレンスのスパイラルドット++で聴いていたときには、私はこの機種の低域の存在感を高いとは感じなかった。

しかし、イヤーピースのオプションを検討しているときに、たとえばSednaEarfitではより黒みを、Acoustune AET08ではより深みと暖かみを感じ、どちらの場合もよりウォームな感触を受け取った。一方でfinal E Clearのような音質的に上向きなイヤーピースにすると、この低域はほとんど透明になって、音楽全体のクールさが目立つようになった。これはあくまで私の聴感的な印象の問題もあるが、少なくともこのイヤホンはイヤーピースによる低域の変化をかなり露骨に感じたことは事実である。その意味で、イヤーピース選びが楽しい機種であると言えるかも知れない。

  • 【レビュー】iBasso IT04:バランスが良く、とくに低域や高域の設計は意外と煮詰めて作られていて、万能に聴ける印象。埋もれがちな機種だが、隠れた名機だ。

    日本ではDAPばかり評価されている感じのiBassoだが、実は密かに海外レビューで評価が高いのがこのIT04。各種レビューで「Great Sound!」と連呼されているので、「どんなもんかな」と興味を持ったけど、たしかにいろいろバランス良く、万能に音楽を楽しめる感じでフラッグシップとしてかなり成熟している印象を受けた。 どぎついところや変に不自然な演出感がなく、透明感や清潔感が大事にされていて、音場は広く、奥行きもあってリアリティがよく追究されている。日本ではほとんど無名に近く、埋もれた感じの機種になってしまっているが、これを埋もれさせるのは若干もったいない気がして、レビューした。 幸いなことにこのレビューを書いている2019年7月現在は価格も安定しており、手を出しやすい位置にいる。
  • 【レビュー】CampfireAudio IO:ぶっとい眉毛のように中高域が目立つ独特の骨太な表現力を持つ。これが意外と面白い

    最初は中高域のインパクトにびっくりさせられて、「なんじゃこりゃ?」って思ったけど、聴き込んでみたら、むしろ楽しくてハマリました。これは個人的に「あり」です。 一番いいなって思ったのはやっぱりロックかな。ただボーカル周りの清潔感と濃厚感の出し方が意外とうまいんで、アニソンとかバラードとかR&BとかJAZZとか、案外悪くないなっていうか、これはこれで万能な音質かもしれないと思えるくらいにはちゃんと聞き心地を考えて作られています。妙な説得力があることは確か。

おすすめイヤホン

官能性

Rasmus Faber 「CHA-LA HEAD-CHA-LA」

こういう華やかで軽妙なJAZZ曲とは非常に相性が良い。金管は明るく、納涼感のある潤いのある音色で伸び、シンバルの粒立ちもツヤツヤみずみずしい。中域で厚みが強調されないので、個人的な好みから言うと、ややクリアすぎる印象も受けるが、そのおかげで低域の音もクリアにみずみずしく聞こえるところがあり、結局全体の清涼感を考えると、この味付けもアリだなと思わせる。

Arty McGlynn 「Jigs: The Humors of Kilclogher / Strop the Razor」

Masters of the Irish Guitar

この曲をやや濃厚感を抑えめに、ギターの上の方のみずみずしいツヤのあたりを強調して聴かせてくれる。色味的には透明感が強く、その意味では薄味であるが、キラキラした輝きを丁寧に感じ取ることができ、キャラクターが明るいながらもコクもあるので、湧き出る泉の音を聴くようにギターを楽しめる。濃厚さを出さないのでノスタルジックなサウンドにはそれほどならないが、みずみずしさに優れている。

Robert Len 「Good Morning Heartache」

個人的にはこの曲を味わうにはもうちょっと濃厚感が欲しい気もするが、透明でみずみずしい音が潤いのある清涼感を感じさせてくれる。しっとりとした朝の空気感でこの曲を味わいたいなら、おすすめ。

春奈るな 「Overfly」

シンバルにクラッシュ感が丁寧に出るうえ、ボーカルの声色に清々しい透明感があるので、この曲は非常に気持ち良く聴けた。ボーカルは素直に上にすっきと伸びるので、この曲の突き抜け感の再現度は高く、この曲の濡れた情感と、冷めた夜の肌感さえ感じられるほど。個人的には恐るべき説得力を感じた。

KOKIA 「ありがとう・・・」

この曲も濃厚感よりはみずみずしさ重視。弦楽は生命的な潤い感のある弾力を持ち、張りと伸びがよいが、ヒステリックさはない。ドラムも浮き上がりがよく、湧き出るように躍動的に音場を支える。全体的に見通しよく、清流の水面を覗くような感じにツヤツヤとJAZZを楽しめる。

下地紫野 & 悠木碧 「Harvest Moon Night」

水面から音楽を覗くような潤いのある透明感が味わえる。弦楽は伸びやかで張りもよいが、みずみずしく滑らかで、ドライな感じがなく、どこまでも清らかでヒステリックな感じがない。ギター音もみずみずしく明るく、低域の深みも朗らかに、見通し良く楽しめる。

おすすめイヤーピース

この機種のノズルの太さは普通。比較的万能にイヤーピースを合わせやすい。

AZLA SednaEarFit

AZLA SednaEarfit

低域が濃くなり、高域もやや明るくなり、コントラスト感が増す。ややドンシャリ感強めになる。

Symbio Eartips

Symbio Eartips

低域が厚みを増し、やや重厚感が出る。濃厚感を求めるなら候補の一つ。

JVC SpiralDot++

JVC スパイラルドット++

やや音場を開放的にしてくれ、シンバルのクラッシュ感を味わいがよくなる。低域の存在感はほとんど強くならないので、潤い感と輝き重視で楽しむ感じになる。

final E-CLEAR

final E-clear

スッキリ感がかなり増す。ボーカルフォーカスは高まるが、音場全体が明るくなり、低域が下がる感じがあるので、やや薄味感が強いかも知れない。

ePro Horn-Shaped Tips

ePro Horn-shaped Tips

すっきり感が出て、音場が開放的になる。低域もそこそこ張りが出て存在感があるので、音場が開放的になるものの、薄味感はそれほどない。

Acoutune AET08

acoustune AET08

高域がマイルドになり、低域の厚みが増すので、濃厚感が高まる。

【総評】潤い感のある艶やかな中高域が最大の魅力

この機種はTwitterでアユートの営業さんのツイートを目にし、興味を持った機種。ちょうど同じ頃にCayin YB04を聴いており、そちらもJAZZが楽しく、しかもこのイヤホンと価格帯がもろかぶりする。そして海外のレビューを渉猟してみると評判も悪くない感じで、聴きたくなったというわけ。

あくまで個人的な好みで言えば、Cayin YB04のほうにより豊かでダイナミックな音響を感じるので、最終的にどちらが好みかと言えばYB04となるが、こちらもこちらでその透明感のある音は素晴らしく、Acoustune恐るべしと思わせるに十分な魅力がある。少なくとも解像度という面において、見通しが良く、高域の手がかりも多いこちらのほうが感触的には解像度を分かりやすく感じさせてくれるので、解像度重視ならおすすめ。

Acoustune HS1650CU

7.7

高域

8.0/10

中域

8.0/10

低域

7.0/10

Pros

  • ビルドクオリティが高い
  • クールで手がかりの多い高域
  • みずみずしく潤い感のある見通しの良い中域
  • クリアでほどよくウォームな低域
  • 音場がクリア

Cons

  • 音にあまり厚みがない
  • 遮音性がイマイチ

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