【レビュー】Cayin YB04:Cayinらしい自然な音の繋がりと意識したイヤホン。さらに女声ボーカルの表現力は価格帯随一に近い

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免責事項

レビューは手持ちの機種と販売店舗さんのご厚意で試聴させていただいた範囲内の機種で作成しております。ケーブルは標準付属品のはずですが、セッティングは販売店舗さんにより異なる場合があります。イヤーピースは手持ちのものを使える場合は、それを用いてテストしております。レファレンスはJVC スパイラルドット++ Lサイズですが、機種によって使えない場合もあるかもしれません。使えない場合どうするかはその都度。

テスト機は基本的にAstell & Kern KANN CUBEを用いていますが、音質の特徴を捉えるために副次的にONKYO GRANBEATなど別のDAPも使っております。

一応解像度とかの比較用にイヤホンのレファレンスを定めていて、EarSonics ES5です。

スペック

  • ドライバー:ハイブリッド
  • ドライバー構成:4ドライバー
  • 周波数特性:18Hz – 40kHz
  • インピーダンス:30Ω
  • 感度:113dB

使用感

装着感

耳への収まりは良い。装着感は良好。

遮音性

耳をしっかり覆うので、遮音性は高め。

ビルドクオリティ

ビルドクオリティは高く、金属筐体のため耐久性も期待できる。コネクタ部分もガッチリというより、大ぶりながっつりした作り。

音質

総合:27/30
9/10

高域

8/10
8/10

透明で厚みのある濃く、大人びた深みのある高域

  • 質感:ややウォーム、滑らか、艶やか、みずみずしい、透明、ナチュラル
  • 明るさ:普通
  • 拡張性:かなり良い
  • 派手さ:普通
  • 緻密さ:やや緻密

高域は派手さがなく、ディテールの中心点にもならないので、点数的には控えめになっているが、むしろイヤホン全体のキャラクターを見てみると、この高域の目立たないけど透明で開放的な調整がかなり良好に作用していることがわかる。

ブランド初のイヤホンでありながら、いかにもCayinらしいと思われる明確なコンセプトが感じられ、濃く自然な広がりのある光沢と透明感を持ち、みずみずしい味わいのある高域がすでに完成度の高さを感じさせてくれる。ハイハットや弦楽に艶があり、マイナスイオンを感じさせる納涼感がある独特の質感に惹きつけられる。

高域は決して明るさを強調されていないが、自然光を思わせるほの明るさをもっており、マイルドながら高さも良好で抜ける音は自然に伸びて消失していく空間性がある。

中域

10/10
10/10

Cayinらしい自然な広がりと濃厚感を持つ透明感のある中域。女声ボーカルに質感的なこだわりが感じられる

  • 質感:ややウォーム
  • 明るさ:明るめ
  • 横幅:広め
  • 奥行き:広め
  • ボーカル:濃く、つややか、甘味たっぷり

女声ボーカルのみずみずしさが素晴らしく、濃く甘く、透明で湿っぽく、そして明るく、抜けも良い。輪郭は強調されず、自然な息感と広がりを持って、音に不自然に乾燥するところがない。KANN CUBEでも充分にボーカルが輝くが、Cayin N6II/A01と組み合わせると、さらに濃厚感が出て最強に。ピアノやギターの音に深みと艶が増し、ボーカルの甘味も一段と強くなってフルーティーになる。

中域の自然な広がりと厚み、定位、濃さ、輪郭のナチュラルタッチ感は、高域から低域まで見渡した丁寧な調整によって実現されており、音の継ぎ目なく、溶け合うように調和的な音空間を実現している。

低域

9/10
9/10

適度な厚みと張りで自然に中域を支える

  • 質感:ややウォーム、ナチュラル
  • 明るさ:明るめ
  • 重心:普通かやや高め
  • 重み:普通
  • 重低音:濃い、浮き上がりが良い

低域は透明感があり、見通しが良い。視界はどちらかといえば明るい。低域音には濃さがあるものの、厚みはどちらかといえば抑制的で、自然な温度感と太さが追求されており、むしろ中域とのつながりを意識して意図的に自然なバランスを目指して調整されている。そのため、中域の充実感を支える一歩引いた縁の下の力持ち的な表現になっている。重厚感は強くないが、スピード感もあり、浮き上がりがよく、音場に自然な躍動感を加えている。

  • 【レビュー】ULTRASONE SAPHIRE:パワフルで太い音が広い音場に林立する万能系イヤホン

    輪郭もしっかりした太い音が、奥行きと広さを持って配置されて聞こえるため、かなり没入感は高い。音の色味にかなりの濃さがあるにも関わらず、見通し感も良く、低域でもクリアに重低音まで聞こえる感じがあって、音楽の隅々までまるっと聴かせてくれる感覚もあり、非常に質が高い。空間を丁寧に構築しつつ、個々の音に対しては、根立ちをはっきりと、音の立ち上がりなどを意識して高さや太さ、輪郭に配慮しているあたり、質実剛健なドイツ気質も感じられて好ましい。 音に自然な太さと広がりがあるので、濃くはっきり充実しているのに圧迫感がなく、聞き疲れもしにくい。これはなるほどレベルが高いと納得させられる。
  • 【レビュー】final B2:つややかで潤いのある音を楽しめるイヤホン

    finalとしてはB2にクラシック音楽向きなホールで聴いてるかのような音響を目指したという。個人的にはその割には音場がみずみずしすぎてクリア感も高すぎる印象受ける。同じ値段なら間違いなくJVC HA-FX1100の方がクラシック音楽のダイナミズムがより感じられるし、反響音も豊かだと思う。 むしろ個人的には高域楽器音のみずみずしさとほどよい明るさのバランスからボーカルに自然と潤い感が感じられて充実して聞こえる感じに好感を持った。独特のしっとり感がありつつ、発色もきれいな感じはこのイヤホンでなければなかなか味わえないだろう。ピアノをはじめ様々な楽器の弾き語り曲なんかを豊かに聴くのに素晴らしいパフォーマンスを発揮しそうである。 イコライザーで高域をいじると、突き抜け感も驚くほど素直に出るようになるので、ボーカルがみずみずしいまま伸びるようになり、シンバルの空気感も増し、意外とポテンシャルが高いところも楽しみがいがある機種。まだB1・B3を聴いてないので最終判断は避けるが、密かにかなり物欲が刺激された。

おすすめイヤホン

官能性

Susan Wong 「The One You Love」

この曲のような艶っぽいボーカルを味わうなら、同価格帯で最強クラスと太鼓判が押せる。最強かも知れないが、価格帯のイヤホン全部聴いたわけではないので、一応保留付きで。

輪郭は丁寧にナチュラルタッチに描写されるから、たとえESS系のちょっと無機質な音を奏でるKANN CUBEで聴いてさえ、音にデジタルっぽさはなく、自然な広がりを感じることができる。特にこの自然な風味のある輪郭表現はボーカルの声を丁寧に空間に溶け込ませ、透明感を顕著に感じさせてくれる。多ドラとは思えない、つなぎ目を感じない、広がりの良さが最高の魅力。

majiko 「エミリーと15の約束」

ボーカルの厚みと艶が素晴らしく、ボーカルフォーカスも利いている。ボーカルの周囲はしかし、清潔というより、濃厚と言えるほど楽器音が充実しているが、タッチは自然で輪郭を強調せずに音同士が丁寧につながっているので、空間的な透明感を感じることができる。バランスドアーマチュアらしい刻みと色味の濃さがありながら、ドライなところがなく、あくまでみずみずしい味わいが素直に心地よい。

田中理恵 「Fields of hope」

この曲の透明感とみずみずしさを本当に空間全体に満たして聴かせてくれる。空間全体が自然な明るさで輝き、音同士がつながり、透明で、澄み切っていながらも、音は温もり感に満ちて、生命的な水分を感じさせる。ボーカルは奥深くから湧き出て、滴るような色気があって、低域弦楽もみずみずしく輝く音を奏でるので、水面のようにキラキラとしている。

この曲はこのイヤホンで聴くのがふさわしい。そう思わせてくれる。

藤田麻衣子 「ねぇ」

私の大好きな藤田麻衣子さんのみずみずしい歌声を最高に広がりを持って隅々まで味わわせてくれる。音は輪郭は意識させず、自然な厚みを持ったまま空間に溶けるように抜けていくので、それぞれが一体的で調和的な空間を作り出しており、充実感が素晴らしい。

岡崎律子 「A Happy Life」

林原めぐみさんのバージョンもいいけど、このイヤホンの艶っぽさを味わうなら、岡崎律子さんのバージョンがいいかな。まあどっちも聴き応えあります。ボーカルにコクと深みをしっかり出しつつ、上には本当にすっきりみずみずしく抜けていくバランス感覚が良い。

森口博子 「ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~」

うん、こういう曲に対するこのイヤホンの表現力は素晴らしい。音がこんこんと湧き出る泉のように、プカッと浮き出てきては空間全体に音が広がっていくし、途中から入ってくるリズムパートの衝撃感はきれいに弾けて空間全体に木霊するかのよう。おかげでリズムが音楽全体を鳴動させてくれるかのようなメリハリの良さと展開の切り替えがある。素晴らしい。

おすすめイヤーピース

この機種のノズルの太さは普通。比較的万能にイヤーピースを合わせやすい。

AZLA SednaEarFit

AZLA SednaEarfit

低域が濃くなり、全体的にコントラスト感が増す。

ePro Horn-Shaped Tips

ePro Horn-shaped Tips

中域以上の抜けと広がりがよくなり、開放感が増す。低域はやや薄くなる。

JVC SpiralDot++

JVC スパイラルドット++

音に自然な広がりと色味が乗り、バランスが良い。

final E-CLEAR

final E-clear

音がやや見通しがよくなり、高域で手がかりが多めに鳴り、ボーカル周りがスッキリする。ボーカルフォーカス感が増すが、低域は薄くなり、やや音場全体が上向く。

Fender SureSeal tips

Fender SUreSeal tips

低域の色味が少し濃くなり、中域も濃厚になる。音色に弾力も出る。

radius DeepMount

radius deeo mount

ボーカル周りに音が集まり、やや音場がスリムになる。低域はやや横幅が広くなる、三角形の立体感が強調される。

【総評】ブランド初にして、すでに完成している哲学を持ったイヤホン。音の広がり重視なら価格帯最強

Cayinらしいナチュラルタッチの音を追求した音作りで、ブランド初にも関わらず、すでに高い完成度を感じさせるイヤホン。とくにみずみずしい自然な輝きを思う存分味わわせてくれる中高域は絶品で、価格帯では女声ボーカル最強候補の最右翼だろう。多ドラとは思えない自然なつながりを持つ空間表現はアナログでもデジタルでも音の風味を丁寧に再現してくれる。どんな音源相手にも人工的な質感を感じさせない聞き心地の良さが最高の魅力だ。このイヤホンについて長く語る必要はないだろう。聴けば魅力は充分に伝わるほど圧倒的なはずだ。

Cayin YB04

9

高域

8.0/10

中域

10.0/10

低域

9.0/10

Pros

  • 女声ボーカルが素晴らしい
  • ビルドクオリティが高い
  • みずみずしい音空間
  • 音の繋がりと広がり、輪郭が自然
  • 中域の充実感

Cons

  • 高域と低域は中域の引き立て役
  • 分離感の強調はない
  • シャープネスに欠ける

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