【レビュー】final B1:原音忠実を謳うが、たしかにそれっぽいモニターライクな印象を受ける。正統派で少し面白味には欠けるかも

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免責事項

レビューは手持ちの機種と販売店舗さんのご厚意で試聴させていただいた範囲内の機種で作成しております。ケーブルは標準付属品のはずですが、セッティングは販売店舗さんにより異なる場合があります。イヤーピースは手持ちのものを使える場合は、それを用いてテストしております。レファレンスはJVC スパイラルドット++ Lサイズですが、機種によって使えない場合もあるかもしれません。使えない場合どうするかはその都度。

テスト機は基本的にAstell & Kern KANN CUBEを用いていますが、音質の特徴を捉えるために副次的にONKYO GRANBEATなど別のDAPも使っております。

一応解像度とかの比較用にイヤホンのレファレンスを定めていて、EarSonics ES5です。

 

スペック

  • ドライバー:ハイブリッド
  • ドライバー構成:2ドライバー(ダイナミックドライバー×1, バランスドアーマチュアドライバー×1)
  • インピーダンス:13Ω
  • 感度:94dB

使用感

装着感

装着感は良好。ステンレスなので若干硬い感触がある。

遮音性

遮音性はそこそこ高い。

ビルドクオリティ

ビルドクオリティは高め。

音質

総合:24/30
8/10

高域

8/10
8/10

充分に明るい高域。つややかさに強調がある

  • 質感:ニュートラル
  • 明るさ:明るめ
  • 拡張性:良好
  • 派手さ:やや派手
  • 緻密さ:緻密

高域は充分に明るく、B2と同じようにつややかさを強調しつつ、さらに高域拡張性が高くなっており、音がより高くまで立ち上がる印象を受ける。

中域

8/10
8/10

女声ボーカルやギターに潤いがある

  • 質感:ややウォーム
  • 明るさ:明るめ
  • 横幅:広い
  • 奥行き:広い
  • ボーカル:少し前、明るめ、みずみずしい

中高域にやや豊かさを感じ、音につややかさが感じられる。ギターサウンドにはコシと煌めき感、潤いがあり、質感が丁寧に感じられる。アコースティックギターは特に目立つ感じがあり、やや女声ボーカルと被りやすいが、分離は悪くなく、それほどガチャガチャしない。

中域にはほどよい厚みもあって、音色にマイルドさがあり、聞き心地は安定している。

低域

8/10
8/10

クリアでバランスのよい万能系の低域

  • 質感:ややウォーム
  • 明るさ:明るめ
  • 重心:普通
  • 重み:普通
  • 重低音:クリア

中低域に一定の膨張感と厚み、ベースラインの明瞭さがあって、クリアな印象を受ける。深い音まで出ているが、見通し感が良い感じで、ディケイも早く、沈みからの浮き上がりが早いので、低域でスピード感が充分に感じられる。明るく快活な印象を受ける。

例えばドラムスは重いドンよりは中域に属するタムの「パン」「タン」の音の方が元気に聞こえる印象。性格的にパーカッションは明るめで、ポップス/ダンス向きの印象を受ける。

100hz~40hzまで厚い振動。30hzで沈み、20hzでほぼ無音。

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    記事内でも書いたが、標準イヤーピースでは当初は低域の厚みが感じられず、高域の明瞭感の高さだけが味わえる感じで、カリカリした硬い感じのクールイヤホンに思えた。しかし、イヤーピースを試聴テストのレファレンスであるスパイラルドット++に変えた途端に、低域の豊かな広がりが感じられるようになって、評価を変えざるをえなくなった。 重厚感がしっかりありながら、全体的に明るく見通し感を重視した現代的なサウンドキャラクターを持っており、音は輝きもある。一方で高域でシャープネスを強調しすぎて音を細く感じさせてしまったり、耳に痛い表現になることも丁寧に避けられており、聞き心地の安定感や充実感がよく考慮されている。こうした質の高いサウンドキャラクターとビルドクオリティの完成度の高さに、適度な価格設定が組み合わさって、このイヤホンを魅力的なものにしている。
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おすすめイヤホン

官能性

Choucho 「Dream Riser」

レファレンスのEarSonics ES5の方がボーカルの分離が良く、前にハッキリ聞こえ、音場に奥行き感もあり、ボーカルの息感も綺麗。とはいえ、ES5はこの曲大得意なほうだし、価格差も考えると差があるのは当然だろう。むしろ原音忠実系モニターのES5と似た印象を受ける点が重要で、final自身がややアニソン/POPS向きの原音忠実とこのイヤホンを提示しているが、その看板に偽りがないということはES5との聞き比べでよくわかる。

ES5に比べるとB1はもう少し中域に温かみがあり、やや充実感を感じさせるバランスになっている。ボーカルは息感よりは表面の艶やかさをより重視している様子。ボーカル周りは若干密度感が出る。この曲を聴くのに充分なスピード感はあり、明るさも適度に明るい。

ClariS 「CLICK」

CLICK

中高域に手がかりが多く、デジタルドラムにもスピード感が充分に出ており、メリハリ感がしっかりしている。音場に適度な温かみもあるため、音の密度感がそれなりに高く感じられるにも関わらず、聞き疲れる感じはない。ボーカルは充分に明るく、上にもよく伸びるが、つややかでみずみずしく、ふっくらした甘味もしっかりある。

RIRIKO 「その未来へ」

ギターサウンドが非常にみずみずしく、潤い感がある。レファレンスのES5に比べると、中高域以上の鮮やかさ、音場の清潔感、音圧に劣るので、メリハリ感はやや抑えられている印象だが、それでも充分に鮮やかで風味がある。

ボーカルは明るさをわずかに抑えて、つややかな光沢感を少しくっきりめに味わえるようになっているので、この曲のボーカルの湿っぽい感じはかなりうまく表現される。ギターも同様に充分に潤っている。

挟間美帆 「ザ・サイクリック・ナンバー」

低域の見通し感が良く、コントラバスのつま弾きがリアルに張りもよく聞こえる。ピアノは艶やかなあたりを強調しつつ、中域では豊かに思えるほどの厚みも感じさせる。シンバルやヴァイオリン、金管もみずみずしく、音に生気が溢れている。音場はクリアで定位感はしっかりしているので、いろいろなところから楽器が滾々と湧き出るようなこの曲の広がりを充分に味わえる。

Sia 「Big Girls Cry」

重低音の重みがクリアに聞こえるので、量感の割にこの曲の重厚感がちゃんと味わえる。音場に適度な温かみもあり、聞き心地は少しマイルド。

低域は決して量感多めという感じではないので、この曲ではボリューム不足を感じるかと思ったが、意外にも適度なスピード感と重みを感じさせてくれ、充分に聴き応えがある。

どうぶつビスケッツ×PPP 「ようこそジャパリパークへ」

音に充分な緻密感となめらかさ、スピード感があり、みずみずしく元気にボーカルと楽器をともに味わえる。全体的に音場がクリアで手がかりが多く解像度は高めだが、輪郭を適度にマイルドにしていて、音のそこかしこにまろみがあって明瞭感を保ちつつ、絶妙に聴きやすい。これはいい。

おすすめイヤーピース

この機種のノズルの太さは普通。イヤーピースは比較的万能に合わせやすい。

AZLA SednaEarFit

AZLA SednaEarfit

低域の厚みが増す。ややボーカルが太く感じる。

AZLA SednaEarFit Light

全体的にすっきりした印象があるが、やはりSednaEarfit無印と同じように低域少し太めに感じる。

JVC SpiralDot++

JVC スパイラルドット++

音場がスッキリし、シンバルの空気感や中高音の潤い感がきれいに味わえる。

final E-CLEAR

final E-clear

高域の抜けがよくなり、ボーカルは明るくなる。

final E-Violet

final E Violet

高域にマイルド感が出て、中域に密度感、中低域にやや厚みが出るようになる。

radius DeepMount

radius deeo mount

重低音のドンの存在感が増し、ボーカル周りにスリム感が出る。

【総評】アニソンやPOPSにやや順応性が高い、万能系モニターイヤホンを少しリスニング向きにまろやかさを出し、温かくしたような音。ある意味個性には乏しい印象を受けるかも知れない。

Bシリーズのスタンダードモデルとされるだけあって、イヤホン単体としての完成度は高い印象を受けるが、なんとなく「こういう音よく聴くよね」って印象を受ける音でもある。5万円以上くらいのちょっと高めのイヤホンではありがちな、全帯域をそれなりに丁寧に聴かせる感じがあり、完成度は高いが、特色に乏しく、たとえばEarSonics ES5のようなより高度なモニターライクのリスニングイヤホンがあると、「別にこれはなくていいかな」ってくらいの感想しか出てこない。クセが少ないので、イヤホンとしては高く評価したいが、クセがないだけに独自性に欠けるところもあって、優等生すぎるかなって印象も受ける。

B3を聴いてないのでまだわからないけど、少なくともB2と比べた感じ、むしろB2のほうが個性的で面白い音作りを感じ、B1は高い割に普通かなって感想を持ってしまう。オールラウンダーにまとまっていて手堅いが、個人的にはいまいち手に取りづらいところがある。

final B1

8

高域

8.0/10

中域

8.0/10

低域

8.0/10

Pros

  • ビルドクオリティが高い
  • 均整の取れた音質
  • 艶やかで光沢感のある高域
  • 良好なステージング

Cons

  • 手堅くまとまりすぎている
  • 人によってやや明るすぎる高域

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