【レビュー】iBasso IT04:バランスが良く、とくに低域や高域の設計は意外と煮詰めて作られていて、万能に聴ける印象。埋もれがちな機種だが、隠れた名機だ。

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免責事項

レビューは手持ちの機種と販売店舗さんのご厚意で試聴させていただいた範囲内の機種で作成しております。ケーブルは標準付属品のはずですが、セッティングは販売店舗さんにより異なる場合があります。イヤーピースは手持ちのものを使える場合は、それを用いてテストしております。レファレンスはJVC スパイラルドット++ Lサイズですが、機種によって使えない場合もあるかもしれません。使えない場合どうするかはその都度。

テスト機は基本的にAstell & Kern KANN CUBEを用いていますが、音質の特徴を捉えるために副次的にONKYO GRANBEATなど別のDAPも使っております。

一応解像度とかの比較用にイヤホンのレファレンスを定めていて、EarSonics ES5です。

 

スペック

  • ドライバー:ハイブリッド
  • ドライバー構成:4ドライバー(ダイナミックドライバー×1, バランスドアーマチュアドライバー×3)
  • 周波数特性:5Hz – 40kHz
  • インピーダンス:16Ω
  • 感度:110dB

使用感

装着感

カスタムIEMに似せたデザインになっており、耳にしっかりと嵌まる。

遮音性

耳をしっかり覆うので、遮音性は高め。

ビルドクオリティ

mmcxコネクタが若干硬めだが、ビルドクオリティは全体的に高い。

音質

総合:24/30
8/10

高域

8/10
8/10

刺さる手前でなめらかに抜け、高域の一番艶やかなあたりを丁寧に聴かせる、優美で風味のある音

  • 質感:ニュートラル、明瞭
  • 明るさ:明るめ
  • 拡張性:良好
  • 派手さ:派手
  • 緻密さ:緻密

くっきりしたキャラクターを持っているが、刺さるあたりの尖る感じをうまくセーブしていて、刺さりそうってあたりの数歩手前でなめらかに抜けていく感じがある。ハイハットには空気感も充分にあり、高域の広がりはしっかりしている。管楽や弦楽は透明感のあるつやっとしたところを目立たせて、まろやかな風味を感じさせる音。

中域

8/10
8/10

女声ボーカルやギターの艶やかなあたりがよく聞こえる。空間には適度なふくよかさも持たせられており、音は濃厚ではないが、透明感のある中に確かな広がりが感じられる。

  • 質感:ニュートラル
  • 明るさ:明るい
  • 横幅:広い
  • 奥行き:広い
  • ボーカル:前、やや細め、輪郭良し

サウンドステージ広め。中高域がやや前屈みで女声ボーカルとギター、シンバルに精彩が乗っており、ギターにはしっかりとしたコシがあり、色づきを感じられる。ボーカルはつややかだが、やや厚みに書けるところはあり、フルボディ感は控えめ。

低域

8/10
8/10

重すぎず、膨らみすぎず、弾みすぎずでバランスのよい万能系の低域

  • 質感:ニュートラル
  • 明るさ:普通
  • 重心:やや低い
  • 重み:重い
  • 重低音:地熱少しある

バスドラムは濃すぎないが、膨張感も一定程度感じられる。膨らみすぎない適度な厚みで、ベースをマスキングする感じもなく、一定の躍動感も丁寧に表現し、床面のビシバシ感も適度に出る。重低息の下の方で地熱も感じられ、全体として見るとウォームではないが、ロックの熱気もちゃんと感じさせてくれる、配慮の行き届いた感じの低域。

100hz~30hzまで太く輪郭もしっかりした振動で、20hzでも振動感が残る。

  • 【レビュー】Acoustune HS1650CU:透明感のあるつややかみずみずしいサウンドが魅力。JAZZ好きに捧ぐ。

    この機種はTwitterでアユートの営業さんのツイートを目にし、興味を持った機種。ちょうど同じ頃にCayin YB04を聴いており、そちらもJAZZが楽しく、しかもこのイヤホンと価格帯がもろかぶりする。そして海外のレビューを渉猟してみると評判も悪くない感じで、聴きたくなったというわけ。 あくまで個人的な好みで言えば、Cayin YB04のほうにより豊かでダイナミックな音響を感じるので、最終的にどちらが好みかと言えばYB04となるが、こちらもこちらでその透明感のある音は素晴らしく、Acoustune恐るべしと思わせるに十分な魅力がある。少なくとも解像度という面において、見通しが良く、高域の手がかりも多いこちらのほうが感触的には解像度を分かりやすく感じさせてくれるので、解像度重視ならおすすめ。
  • 【レビュー】Fender TEN 2:深く熱気のある低域を持つ。上位機種ほど音が濃くなく、まだ見通しが感じられ、聞きやすいバランス。ロック向きだが、これでJAZZやバラードを聴くのも悪くない

    FenderのIEMって個人的に、上位機種になるほど音が太く濃くなって、ベースあたりに収斂していく印象がある。NINE 2も同時に聴いたが、そちらがまだ明るい感じだったのに対し、TEN 2はもう濃厚だった。最上位のThirteenも聴いたことがあるが、あれは値段もべらぼうだし、ちょっとどっしりしすぎってこともあり、意外とこのTENあたりで選ぶのが正解の気がする。 値段的にもほどほどで、7万円以内とこの濃いパワフルな音の値段にしてはなんとなく安い気がしないでもない。 ハードロックはもちろんのこと、JAZZを聴くにも充分な濃度感があり、室内楽でも説得力を感じるかも。重厚で濃いめにどっしり音楽を聴きたい人にはかなりよい選択肢になりそうだ。

おすすめイヤホン

官能性

Aimer 「茜さす」

中高域に手がかりが多く、ピアノやギターの音色がツヤや感他、タムの鼓面もはっきりとしている。ボーカルは少し明るめのバランスでややはっきりとした輪郭を持っており、息感が丁寧に表現される。太さは少し細いかな程度で、自然。音場はニュートラルでクリア。広めの印象を受け、透明感があって、個々の色の音色の色味に脚色がないので、質感の違いが分かりやすく、バラエティに富む。

勇者パーティー 「えんどろ~る!」

中高域のツヤツヤしてほどよく煌めき感がありながら、尖らずツルッと伸びていく感じはこの曲の甘い雰囲気に合っている気がする。中域に清潔感があって、ボーカル含めてツヤツヤ感を満足に味わえ、奥行き感も丁寧に出るけど、中域の真ん中あたりはちゃんとふっくらしてほどよく濃く甘味を出してくれる。とはいえ、ボーカルの全体の印象としてはどちらかといえば上方向にシームレスに伸びて抜ける感じが強い。ボーカルの分離は良く、はっきり前に出る。

大野雄二トリオ 「Theme From Lupin Ⅲ」

このイヤホンは万能系で、最近の流行曲にも充分な表現力を発揮するが、一方でJAZZやクラシックも悪くない。低域のバランスが良いし、クリアな見通し感があるので、楽器の音色が丁寧に描き分けられ、JAZZ特有の空気感が感じられる。ピアノは明るく艶やかな光沢感があり、結構はっきりした音だが、まろやかさがあるので、悪目立ちせずにつややかな音色を適度に聴かせてくれる。

水瀬いのり&久保ユリカ 「More One Night」

一転してスピード感の激しく緻密さの必要となるダンス系の曲を聴いてみても、低域にちゃんとスピード感があり、リズムは正確で明確。電子音の音色も非常に緻密でほどよくきらびやかでボーカルも同様に明るく弾む。

IT04の魅力は比較的どんな曲でも万能に聴かせる懐の大きさにあることは間違いない。

Suchmos 「STAY TUNE」

この曲を聴いても低域の黒みと躍動感の出し方、シンバルのスパイシーな音色に適切な手がかりがあり、この曲をクリアに聴けるほどには音場に清潔感もある。それでいてドラム音に適度な熱気があったりとなかなか芸が細かい印象を受ける。

Ne-Yo 「Mad」

この曲は結構ピアノが重要で、出足でほどよくキンキン感を出して入り口に充分な情緒感を出しつつ、普段は濃厚に音場に厚みを出す仕事をしているが、そのつややかな感じの出し方が充分にうまく、入り口からしっかり気持ちを盛り上げてくれる。中域自体は少し清潔な感じで、濃厚感はやや少なめで音を剥き出して聴かせるところがあるが、その分全体的に音に手がかりが多く、明瞭感高めに楽しめる。

おすすめイヤーピース

この機種のノズルの太さは普通でツルッとしている。比較的万能にイヤーピースを合わせやすいが、ノズルにとっかかりが設けられていないので、遊びがそれほど無く、口径が合わないイヤーピースは合わせづらい。

AZLA SednaEarFit

AZLA SednaEarfit

コントラスト感が増す。そのせいか低域に躍動感が増しているように聞こえる。

Symbio Eartips

Symbio Eartips

中高域が少し押し潰される感じがある。低域の濃さが増し、重厚感は出る。

JVC SpiralDot++

JVC スパイラルドット++

この機種の持ち味の一つである高く広がるハイハットの空気感を味わうなら、是非これで。

final E-CLEAR

final E-clear

中高域に清潔感が出る。低域がやや薄味になるが、ボーカルの分離はさらに明瞭に。女声ボーカルを詳細に味わいたいならおすすめ。

AZLA SednaEarFit Light

フィット感良好。音がスッキリする。

Acoutune AET07

acoutune AET07

中高域に密度が出る。final E-Clearとは逆に、ボーカル周りに密度感を出したいならこちらで。

【総評】IT04は完成度が高い万能系。なるほど「Great Sound」。

日本ではDAPばかり評価されている感じのiBassoだが、実は密かに海外レビューで評価が高いのがこのIT04。各種レビューで「Great Sound!」と連呼されているので、「どんなもんかな」と興味を持ったけど、たしかにいろいろバランス良く、万能に音楽を楽しめる感じでフラッグシップとしてかなり成熟している印象を受けた。

どぎついところや変に不自然な演出感がなく、透明感や清潔感が大事にされていて、音場は広く、奥行きもあってリアリティがよく追究されている。日本ではほとんど無名に近く、埋もれた感じの機種になってしまっているが、これを埋もれさせるのは若干もったいない気がして、レビューした。

幸いなことにこのレビューを書いている2019年7月現在は価格も安定しており、手を出しやすい位置にいる。

iBasso IT04

8

高域

8.0/10

中域

8.0/10

低域

8.0/10

Pros

  • 装着感が良い
  • 標準で2.5mmバランス接続可能
  • のびやかでつややかな高域
  • 広いサウンドステージと清潔感のある中域
  • バランスの良いクリアな低域

Cons

  • ちょっと噛み合わせが硬いmmcxコネクタ

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