【レビュー】MEZE AUDIO RAI PENTA レビュー:厚みと見通し感。透明感と充実感。相反する個性の融合

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免責事項

レビューは手持ちの機種と販売店舗さんのご厚意で試聴させていただいた範囲内の機種で作成しております。ケーブルは標準付属品のはずですが、セッティングは販売店舗さんにより異なる場合があります。イヤーピースは手持ちのものを使える場合は、それを用いてテストしております。レファレンスはJVC スパイラルドット++ Lサイズですが、機種によって使えない場合もあるかもしれません。使えない場合どうするかはその都度。

テスト機は基本的にAstell & Kern KANN CUBEを用いていますが、音質の特徴を捉えるために副次的にONKYO GRANBEATなど別のDAPも使っております。

一応解像度とかの比較用にイヤホンのレファレンスを定めていて、EarSonics ES5です。

 

スペック

  • ドライバー:ハイブリッド型
  • ドライバー構成:5ドライバー(DD ×1, BA ×4)
  • 周波数特性:4Hz ~ 45kHz
  • インピーダンス:20Ω
  • 感度:110dB

使用感

装着感

カスタムIEMに似せたデザインで耳への収まりはよい。

遮音性

耳をしっかり覆うので、遮音性は高め。

ビルドクオリティ

筐体の完成度は高く、継ぎ目も目立たず、高級感が感じられる。

音質

総合:26/30
8.7/10

高域

9/10
9/10

明るく繊細な高域。明瞭感がある

  • 質感:クール、硬質
  • 明るさ:明るい
  • 拡張性:かなり良い
  • 派手さ:派手
  • 緻密さ:緻密

金属光沢のカリカリしたあたりが強調され、高域では手がかりが多い。高域音は浮き上がりも良く、細密で明るい印象をかなりはっきりと感じさせてくれる。

一方でシャープネスに関わる尖りは適度に抑えられており、高域の空気感もそれなりにセーブされているため、かなり高くまで広いわけではなく、適度なマイルドカーブが感じられる。

発色が良く、明るさは十分。

中域

8/10
8/10

ワイドレンジ感と厚みを両立させた中域

  • 質感:ニュートラル、すっきり
  • 明るさ:明るめ
  • 横幅:普通
  • 奥行き:広め
  • ボーカル:明るめ、ツヤツヤ

中高域に強調があるが、中域は下方向で少し清潔感があり、低域まで広く、ワイドレンジ感を意識している。低域方向に一定の厚みがあるのものの、基本的には中高域から高域にかけての鮮烈な印象が目立つ。DAPによっても印象が変わり、たとえばCayin N6Ⅱだと中域に暖かみが出てくる。

低域

9/10
9/10

暖かみのある低域。深さより重みと温度感

  • 質感:ウォーム
  • 明るさ:明るめ
  • 重心:低め
  • 重み:重い
  • 重低音:深さはほどほど、地熱感あり

店頭試聴機の標準イヤーピースでは低域はほとんど聞こえなかったが、私のテスト時のレファレンスイヤーピースであるJVCスパイラルドット++にすると、一気に低域が広がり、ボリューム感が出た。店頭試聴機で聴くときはイヤーピースを適切に選ばないと、もしかするとこの機種の魅力を見誤るかもしれない。

低域音には確かな濃さがあり、重みと温度を感じるが、深みはほどほどでどちらかというとゆったりと広く重低音を聴かせて音場全体を支える。

  • 【レビュー】Cayin YB04:Cayinらしい自然な音の繋がりと意識したイヤホン。さらに女声ボーカルの表現力は価格帯随一に近い

    Cayinらしいナチュラルタッチの音を追求した音作りで、ブランド初にも関わらず、すでに高い完成度を感じさせるイヤホン。とくにみずみずしい自然な輝きを思う存分味わわせてくれる中高域は絶品で、価格帯では女声ボーカル最強候補の最右翼だろう。多ドラとは思えない自然なつながりを持つ空間表現はアナログでもデジタルでも音の風味を丁寧に再現してくれる。どんな音源相手にも人工的な質感を感じさせない聞き心地の良さが最高の魅力だ。このイヤホンについて長く語る必要はないだろう。聴けば魅力は充分に伝わるほど圧倒的なはずだ。
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    木製振動板が奏でる独特の温かみと豊かな情報量のあるディテールに満ちた音は、有機的でライブ感に満ちている。音の自然で豊かな広がりに空間性を存分に感じることができ、音楽を場そのものまるごと味わえるという贅沢なサウンドを持っている。とくに低域のディテール感は好みにもよるが、これより価格上位の機種でもここまでの上質な音はなかなか味わえない。 コスパも素晴らしく、本来は4~5万円クラスの製品だが、生産終了後は在庫処分品が3万円以下で手に入るようになっており、全イヤホン見回しても最高クラスの低域が格安で手に入る意義は大きい。 イヤホンでありながら、ホールで聴いているかのような臨場感を味わえるという贅沢感が最大の魅力だ。

おすすめイヤホン

官能性

CHiCO with HoneyWorks 「乙女どもよ。」

中高域と高域のキラキラ感が厚みを伴って感じられる。低域も重厚感があり、地熱感があって暖かいながら、さらに明るさも感じられ、見通し感が良い。そのせいか、リズムは低域優位に思われつつも、もっさりした感じはなく、むしろ快活な弾みが感じられる。ドラムの力強い火力を感じながら、ボーカル周りのつややかさや伸びがしっかりと出るのは気持ち良い。力強さと明るさが共存した勢いのある音楽を楽しめる。

ヨルシカ 「カトレア」

この曲のドラム火力をかなり遺憾なく楽しめる。バチンバチン熱気を持って弾ける音が力強い。ベースやギターもギュワギュワ熱く、膨張感もあって十分に火力があるが、一方で中高域以上はあくまで緻密で繊細。高域の抜けは良いが、シャープになりすぎず、音は太さを維持したまま天上に向かう。

Porter Robinson & Madeon 「Shelter」

低域にしっかりとした厚みがあり、その低域もディテールを強調しすぎないが、見通し感があって低域の広さがそのまま高域までつながっているような一体感がある。決して深いところまで沈む音ではないが、厚みは十分で音場を豊かに支えている。中高域から高域にかけては明瞭感重視の濃いディテールがあって、それが奥行き感と立体感につながって、透明でクリアな味わいを曲全体に感じさせてくれる。

Lia 「My Soul,Your Beats」

やや重心の低いサウンドが重厚感を出し、豊か。一方で、ボーカルや弦楽は高域で非常に突き抜け感が良く、鮮やか。ピアノも発色良く厚みも感じられ、生命的。

saya 「宇宙を見上げて」

バスドラムにしっかりとした重みがある。シンバルは鮮やかで刻みも良く。しかも空気感を強調しすぎないので中域の濃厚感が拡散されず、しっかりと味わえる。ボーカルは甘味のある中域から上までつややかさを失わずにシームレスに伸び、豊か。

大原ゆい子 「透明な翼」

中高域から高域にしっかりとした光沢感があって、鮮やかで手がかりの多い色彩感がある。低域の厚みと重みも味わえ、床面は充実している。中域ではクリアで見通しも良いのに音が細くならず、厚みと充実感が感じられる。

おすすめイヤーピース

この機種のノズルの太さは普通。比較的万能にイヤーピースを合わせやすい。

AZLA SednaEarFit

AZLA SednaEarfit

低域に濃さが出て、高域の明るさもしっかり出て、コントラスト感が増す。

ePro Horn-shaped Tips

ePro Horn-shaped Tips

明るさが増し、高域音がパリパリキラキラして感じられる。低域はやや薄味になるが、タイト感が出る。

JVC SpiralDot++

JVC スパイラルドット++

個人的におすすめ。高域の抜けが良く、低域も存在感が出る。

final E-CLEAR

final E-clear

中高域以上がスッキリとするが、ややボーカルは近くなり、少し圧迫感が出るかもしれない。

SONY TripleComfort

トリプルコンフォート

高域のシャリシャリ感が増し、音場が少しは明るく感じられる。低域は少し厚みが減って、タイトになる。

acoustune AET08

acoustune AET08

高域がマイルドになるが、発色はほとんど落ちない。中域に濃さが感じられ、低域に厚みが感じられる。

【総評】パワフルかつクリア。明瞭感と重みの広がりを両立させている音楽性の高い表現力。

記事内でも書いたが、標準イヤーピースでは当初は低域の厚みが感じられず、高域の明瞭感の高さだけが味わえる感じで、カリカリした硬い感じのクールイヤホンに思えた。しかし、イヤーピースを試聴テストのレファレンスであるスパイラルドット++に変えた途端に、低域の豊かな広がりが感じられるようになって、評価を変えざるをえなくなった。

重厚感がしっかりありながら、全体的に明るく見通し感を重視した現代的なサウンドキャラクターを持っており、音は輝きもある。一方で高域でシャープネスを強調しすぎて音を細く感じさせてしまったり、耳に痛い表現になることも丁寧に避けられており、聞き心地の安定感や充実感がよく考慮されている。こうした質の高いサウンドキャラクターとビルドクオリティの完成度の高さに、適度な価格設定が組み合わさって、このイヤホンを魅力的なものにしている。

MEZE AUDIO RAI PENTA

8.7

高域

9.0/10

中域

8.0/10

低域

9.0/10

Pros

  • ビルドクオリティが高い
  • マイルドだが明瞭な高域
  • 厚みがありながら見通しの良い中域
  • 広がりの良い低域

Cons

  • 低域に深みがない
  • 高域の空気感の広がりは抑えめ
  • 音は全体的に明るめ

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