【レビュー】Noble Audio Khan:高域の広がりと高さ、派手さに目を奪われる。覚醒感に満ちた音が別世界を見せてくれる。

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免責事項

レビューは手持ちの機種と販売店舗さんのご厚意で試聴させていただいた範囲内の機種で作成しております。ケーブルは標準付属品のはずですが、セッティングは販売店舗さんにより異なる場合があります。イヤーピースは手持ちのものを使える場合は、それを用いてテストしております。レファレンスはJVC スパイラルドット++ Lサイズですが、機種によって使えない場合もあるかもしれません。使えない場合どうするかはその都度。

テスト機は基本的にAstell & Kern KANN CUBEを用いていますが、音質の特徴を捉えるために副次的にONKYO GRANBEATなど別のDAPも使っております。

一応解像度とかの比較用にイヤホンのレファレンスを定めていて、EarSonics ES5です。

 

スペック

  • ドライバー:ハイブリッド
  • ドライバー構成:6ドライバー(ダイナミックドライバー×1, バランスドアーマチュアドライバー×4, ピエゾドライバー×1)
  • 周波数特性:20Hz – 25kHz
  • インピーダンス:19Ω
  • 感度:109dB

使用感

装着感

カスタムIEMのような外観で装着感は良好。

遮音性

耳をしっかり覆うので、遮音性はそこそこ高め。

ビルドクオリティ

ビルドクオリティは価格を考えると一見平凡に見えるが、M3素材のフェイスプレートはすごくかっこいい。

音質

総合:28/30
9.3/10

高域

10/10
10/10

とにかく派手にどこまで広がる高域。音割れ寸前まで行く

  • 質感:硬質、ややクール
  • 明るさ:明るい
  • 拡張性:良好
  • 派手さ:派手
  • 緻密さ:緻密

高域は非常に明るく、のびやかで天上を目指すかのような突き抜け感がある。金属音を中心に手がかりが多く、ヴァイオリンも輪郭よく伸び、弦の繊維の筋が見えるように感じられるほど。金管も粒立ちが良く、非常に明るく吹き上げる。透明感も充分にあり、広がりも良く、シンバルの空気感もきれい。

イコライザーで高域をちょっと盛るだけで信じられないほどシュワシュワシャリシャリしてうるさくなる。ほぼ吹っ切れる限界くらいまで高域は出ている模様。

中域

9/10
9/10

高域の明るさを受け止めるだけの厚みが持たせられつつ、低域の広がりに向かってバイパスする、それ自身も広い音場

  • 質感:ややウォーム、ふっくら
  • 明るさ:明るめ
  • 横幅:広い
  • 奥行き:広い
  • ボーカル:前、自然

中域は中低域につながるあたりに少しふっくらした充実感があり、温度感が保たれている。そのためクリアだが清潔すぎる印象を与えず、適度に厚みが感じられる。ボーカルにも自然な太さと息遣いがあり、男声ボーカルを暖めるだけの充分な濃さがある。

低域

9/10
9/10

広がりがあり、熱気と重みのある低域

  • 質感:ややウォーム
  • 明るさ:普通
  • 重心:やや低い
  • 重み:重い
  • 重低音:地熱感あり

重低音の重みと熱気が存分に感じられる。スピード感もあるが、膨張感も案じられ、ドラムの下に少し黒い暖かいベースがしっかりと存在している。高域の高さに負けない横の広がりと深さがあり、懐の深さを感じさせる。

100hz~30hzまで厚みのある振動。20hzでほぼ無音。

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    インピーダンス値が高めなせいか、清潔感と緻密感のある、かなり歪みのない解像度感バリバリって感じの音を聴かせてくれます。音に細い感じはありつつも、空気感が豊かなので、表現に貧弱さはありません。中高域あたりで手がかりを若干強調しすぎる感じが派手な音作りにつながっているので、キザったらしい感じはありますけど、シャリシャリ感だけじゃなく、その上のシャーンとする空気感もより広がりを持って聞こえるので、軽薄さはありません。 ただ長時間聴くにはきついかな~って思うところもあって、低域にあまり膨張感がないのも落ち着かないと感じる人はいるかも知れません。 ロックやダンスは特に明るく楽しく緻密にきれいに聴かせてくれ、風味も多分に感じられ、レベルが高い印象を受けます。
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    これまで比較的音を林立させるような表現のイヤホンは多く聴いてきましたけど、ここまでレイヤー感を出してくるイヤホンは初めてです。まあ驚くべきは色味において、とことんまで透明でニュートラルさを求めるストイックさと、聞き心地の安定感ね。少なくとも聞き心地に関して不快要素はほぼ皆無です。 表現に関しては意外と好き嫌いはありそう。理由は説明したので繰り返さないけど、組み合わせるDAPによって濃淡が露骨に出やすいところがあるし、一般的なディテールを強調する発想とは真逆の表現で攻めてるから、エッジとか分離感で語るような解像度って捉え方でいくと、むしろ平凡な語り口でこの機種を語ることになりかねない。正直音の質の次元でいえば、そこで勝負している機種ではなくて、むしろ広がりと充実感、奥行き感っていう音空間表現のありかたそのものに挑戦している機種。 率直に言って、これは一瞬で欲しくなりました。明らかに価格ヤバいんで次の瞬間には我慢できましたけど、40万円気軽に出せるなら、これはいまのところ一番のおすすめです。

おすすめイヤホン

官能性

ハルカトミユキ 「17才」

高域の表現力をこの曲で見たかったけど、想像以上。とにかく手がかりが多く、張りもあり、繊細で精密なミニアチュールのように、粒子の細かい音が空間を広く高く満たしている。非常に詳細で広い。そうした情報量の異様に多い高域からほとんどディテールを落とさずに中高域へとつながっているが、その緻密で目が眩む中でも、ボーカルはハッキリ前に聞こえる。中高域以上の圧倒的なディテールが支配的なので、印象的には頭でっかちに聞こえるが、中域に適度な厚みと低域に温度感と深さがあり、充分に派手な高域を支えている。

Rasmus Faber 「Rise [ Voca Version ]」

高域の煌めき感とカチッとした硬質な手応えが、音の粒立ちを強調して聴かせてくれるようで楽しい。かなり明度高めでしつこいくらいにキラキラ感を出しているが、うるさい感じは思ったよりもなく、分離が丁寧で緻密なため、刻みがきれいで、耳を凝らすと吸い込まれそうなほど圧倒される。

この曲でも低域や中域はそれほど目立つ感じではないが、しっかり厚みや温かみを出しており、高域の派手な広がりを丁寧に支えている。

(K)NoW_NAME 「Knew day」

こちらもかなり派手。とくに弦楽はかなりヒステリックに自由気ままに伸び、思う存分気持ちを上に吹っ飛ばしてくれる。タムの鼓面やシンバルもはっきりと硬い手応えを出し、超高域のさらに先へと音を吹き上げる。ボーカルはサ行ほとんど刺さる寸前でかなりきつい印象を受けるかも知れない。全体的に音が上に上に天高く飛翔していく。

三月のパンタシア 「ピンクレモネード」

詳細な高域がかなり明度高めに目立ってくるバランス。ピアノはかなりキンキンして割れそうかなと思うけど、よく抜けるので音が崩れない。むしろこれでもかってくらい、輪郭きわどいところを攻めて聴かせてくるので中毒的に思えるくらい。

ボーカルはピアノの色彩感に押されがちな印象を受けるが、はっきりと明るくコケティッシュで決して潰されている感じではない。中高域あたりが一番目立つが、そこから下もやはりしっかり音場を支えている。

美波 「ライラック」

ハイハットの粒が異様に細かく、刻みも強く、空気感もシャーンと響く。ドラムはバスドラよりタムの鼓面が強く、リズムは明るい。ただドラムの音には充分な膨張感があるので、決してきつい感じではなく、暖かさは維持されていて聞き心地は考えられている。ボーカルやギターはかなり明るく、浮かれ気味で楽しげ。

Perfume 「SEVENTH HEAVEN」

予想はしてたけど、シンバルやギター音、ピアノが超ド派手。ぶっちゃけレファレンスのイヤーピースであるスパイラルドット++は空気感や音の広がりを丁寧に伝えてくれるのはいいんだが、このイヤホン相手だとその過剰な高域の広がりと輝きをもろに表現してくれるので、むしろ相性がよくない。少なくとも限界の一歩手前か、わずかに限界を超えたくらいカンカンシャリシャリキンキンなんで、ここまでの過剰音を聞かされると、私はさすがにへばる。

高域はかなり中毒的で聞く価値は存分にあるが、聴く時は念のため、イヤーピースはAcoustune AET08くらいの高域マイルドなものを選んだ方が良い。

おすすめイヤーピース

ノズルは標準的で、イヤーピースを選ぶのにそれほど困らない。

AZLA SednaEarFit

AZLA SednaEarfit

低域が濃くなるので高域の目立ちが相対的に収まる。

Symbio Eartips

Symbio Eartips

高域のシャンシャンした空気感を大胆にカットできるので、このイヤホンの美点を消してしまう可能性が高いが、どうしてもうるさいなら、これで。しかし、そこまで個性を消してしまうなら、このイヤホンを買う必要はない気もする。

JVC SpiralDot++

JVC スパイラルドット++

このイヤホン相手だと高域の空気感を過剰に伝えすぎる可能性がある。

final E-CLEAR

final E-clear

高域にすっきり感が出て、少し聴きやすくなる。

final E-Violet

final E Violet

E-Clearよりもう少しマイルドに聴きたいならこれ。これでもダメならAET08で。

Acoutune AET08

acoustune AET08

個人的にはこのイヤピくらいのバランスが一番聴きやすい。聴きやすさ重視なら、これで高域をマイルドにするのが効果的。

【総評】ピエゾドライバーの高域は刺激が凄い

個人的にこのKhanの音は超大好きで、店頭試聴機聴きまくってたんですけど、最近さすがに飽きてきました。私が高域系の耳じゃないせいか、最初はその詳細で広がりのある高域に感動するんですけど、数曲聴いてくると耳が慣れてくるのか最初の感動がなくなって、耳にきつい感じが気になってきます。

とはいえ、ものすごい覚醒感を持っている音で、聴いた途端にはっとするくらい印象深い音であることは間違いないです。選り好みの激しい感じにはなりますが、聴いておいて損はない機種です。高域がとことん好きでこだわりがあり、金は出し惜しみしないから、とにかく高域聴かせろって人ならこれは有力候補の一つ。

Noble Audio Khan

9.3

高域

10.0/10

中域

9.0/10

低域

9.0/10

Pros

  • M3プレートはそれぞれ固有であなただけの一品モノ
  • 派手で広がりの良い高域
  • 充分に存在感のある中域
  • 下支えする広い低域

Cons

  • 非常に癖が強い音
  • 一見するとビルドクオリティは高く見えない

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