【レビュー】radius HP-TWF41 ドブルベ ヌメロキャトル:ピエゾドライバー搭載で金属的な響きに手がかり多め。JAZZで結構盛り上げてくれるイヤホン

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免責事項

レビューは手持ちの機種と販売店舗さんのご厚意で試聴させていただいた範囲内の機種で作成しております。ケーブルは標準付属品のはずですが、セッティングは販売店舗さんにより異なる場合があります。イヤーピースは手持ちのものを使える場合は、それを用いてテストしております。レファレンスはJVC スパイラルドット++ Lサイズですが、機種によって使えない場合もあるかもしれません。使えない場合どうするかはその都度。

テスト機は基本的にAstell & Kern KANN CUBEを用いていますが、音質の特徴を捉えるために副次的にONKYO GRANBEATなど別のDAPも使っております。

一応解像度とかの比較用にイヤホンのレファレンスを定めていて、EarSonics ES5です。

 

スペック

  • ドライバー:ダイナミック振動板Φ13.0mm(ベリリウムコーティング) + ピエゾ振動板Φ12.0mm
  • ドライバー構成:1ドライバー
  • 周波数特性:10Hz〜45000Hz
  • インピーダンス:32Ω
  • 感度:108dB

使用感

装着感

いわゆるシュア掛けスタイルも可能だが、標準ケーブルが柔らかいのでそのままだと安定しない。装着感は悪くないけど人によってはインナーハウジングの円形部分が大きくて浮く感じがあるかも知れない。

遮音性

遮音性はそこそこ。

ビルドクオリティ

基本的に価格なりにレベルが高い印象。

音質

総合:22/30
7.3/10

高域

7/10
7/10

硬い感じでやや金属的な質感を強調するピエゾっぽい音

  • 質感:ニュートラル、硬質、太め
  • 明るさ:普通
  • 拡張性:かなり良い
  • 派手さ:普通
  • 緻密さ:普通

ピエゾドライバーを使ったハイブリッドIEMのNoble Audio Khanの音を聴いていて、それでピエゾというと、カンカンした明るい音を想像していたんだけど、このイヤホンの音はもう少し鈍い感じだった。

シンバルは上の方のシャーンという空気感があまり出ず、コチコチチンチンした硬いあたりを強調する感じ。このイヤホンの宣伝フレーズに「ハイハット最強」とあったが、個人的にはハイハットは硬質な金属音とともに空気感も大事だと思っている派なので、この煽り文句には首をかしげた。少なくとも上に広がる感じはそんなにない。むしろライドシンバルの硬質感に最強神話を見いだせる気がする。

ヴァイオリンや管楽の音には一定の厚みがあり、尖りをそれほど強調せず、マイルド。電子音はそれほど緻密ではなく、色味もやや抑えめで派手さは控えめ。

中域

7/10
7/10

密度感を感じさせ、確かな根元も感じさせる

  • 質感:ややウォーム
  • 明るさ:普通
  • 横幅:やや広い
  • 奥行き:やや広い
  • ボーカル:上ではやや暗め、自然な太さ

適度な温度感があって、温かみがある。ボーカルは中域の真ん中でふっくらと優しく甘い吐息がある。ピアノは温かく濃く深みもあり、濃厚で耳当たりが優しく、みずみずしい。男声ボーカルは自然な明るさで太くしっかり聞こえる。

低域

8/10
8/10

重低音までクリアな感触があり、深掘り感は丁寧に出る。ほどよい温度感もある

  • 質感:ややウォーム
  • 明るさ:明るめ
  • 重心:低い
  • 重み:重い
  • 重低音:クリア

コントラバスは弦の輪郭と重みがクリアに感じられて、非常に鮮明に聞こえる。JAZZの低域にクリア感を求める場合、かなり好意的に聴けるはず。温もり感も適度にあって、透明感のあるベースも温かい。

  • 【レビュー】JVC HA-FX1100:地熱の感じられる豊かな低域に支えられた濃密な音が魅力。全体的に空気感の情報量が多く、芳醇。

    木製振動板が奏でる独特の温かみと豊かな情報量のあるディテールに満ちた音は、有機的でライブ感に満ちている。音の自然で豊かな広がりに空間性を存分に感じることができ、音楽を場そのものまるごと味わえるという贅沢なサウンドを持っている。とくに低域のディテール感は好みにもよるが、これより価格上位の機種でもここまでの上質な音はなかなか味わえない。 コスパも素晴らしく、本来は4~5万円クラスの製品だが、生産終了後は在庫処分品が3万円以下で手に入るようになっており、全イヤホン見回しても最高クラスの低域が格安で手に入る意義は大きい。 イヤホンでありながら、ホールで聴いているかのような臨場感を味わえるという贅沢感が最大の魅力だ。
  • 【レビュー】MEZE AUDIO RAI PENTA レビュー:厚みと見通し感。透明感と充実感。相反する個性の融合

    記事内でも書いたが、標準イヤーピースでは当初は低域の厚みが感じられず、高域の明瞭感の高さだけが味わえる感じで、カリカリした硬い感じのクールイヤホンに思えた。しかし、イヤーピースを試聴テストのレファレンスであるスパイラルドット++に変えた途端に、低域の豊かな広がりが感じられるようになって、評価を変えざるをえなくなった。 重厚感がしっかりありながら、全体的に明るく見通し感を重視した現代的なサウンドキャラクターを持っており、音は輝きもある。一方で高域でシャープネスを強調しすぎて音を細く感じさせてしまったり、耳に痛い表現になることも丁寧に避けられており、聞き心地の安定感や充実感がよく考慮されている。こうした質の高いサウンドキャラクターとビルドクオリティの完成度の高さに、適度な価格設定が組み合わさって、このイヤホンを魅力的なものにしている。

おすすめイヤホン

官能性

fhána 「ムーンリバー」

この曲は高域の煌めき感や色味を抑えて重厚に聴かせる。大抵のイヤホンでややヒステリックなくらいに上に伸びるボーカルが、このイヤホンで聴くと尖りを強調せず、ちょっと暗めくらいの自然な声色で伸びるので、妙に聞き心地がマイルド。高域は明るくないが、音に聞こえづらい感じはなく、むしろ清潔なくらいで、上までしっかりと伸びる拡張性が感じられる。

タイナカサチ 「最高の片想い」

最高の片想い

このイヤホンの音は温もり感重視の聞かせ方で、こういう曲向きな印象。ピエゾのおかげかシンバルとギターの金属的な音が非常に鮮明で、温もり感もあり、ディテールがあるので妙に存在感がある分厚みも感じ、ボーカルを包み込んで聴かせてくる。ベースにも温もり感があって、じんわり情緒的。ボーカルはそんな湿っぽい空間で、上ではふわっと浮き上がるようにつややかで、穏やかながらみずみずしい声質で活き活きとし、しっとりした曲の中でも異彩を放つように煌めいている。

大野雄二 with フレンズ 「ルパン三世のテーマ (Funky & Pop Version)」

低域弦楽にしっかりとした深掘り感と手がかりがあって、音の広がりも良く、輪郭をクリアに感じさせながら温度感も丁寧に出ている。渋みのある金管のドライな質感もディテールよく表現されて、ピアノもみずみずしい光沢を見せつつ、明るすぎない自然な濃厚感を持っていて充実感がある。音質的にはJAZZを少しクリアな感じで聴くのに最適な印象を受けた。

Aimer 「カタオモイ」

ギターの温もり感が丁寧で温かい。色づきも鮮やかでじんわりとした情感をしっかり表現してくれる。低域ドラムは重低音のドンをしっかり出すが、輪郭は柔らかめで広がりがあって、温かみのある音場全体に友好的な音で耳に心地よい。

中域に充分な温度感があり、この曲のAimerのボーカルの湿っぽい甘味は丁寧に出る。

分島花音 「RIGHT LIGHT RISE」

どちらかというと重厚感重視の表現。結構派手めで密度感が高く、音が多いこの曲はイヤホンによって明るくなったり重くなったりと色味が変わりやすいところがあるが、このイヤホンで聴くと金管は渋め、ハイハットも金属的な濃いめの音、ドラムとベースがウォームで重心低めといったバランス。

ボーカルもそうした全体的な引力に影響されるのか、やや下に重い感じで中域の真ん中で充実する印象がある。中域の一番濃いあたり、中低域の少し上くらいに焦点がある安定度高めの音響に聞こえる。

UVERWorld 「いつか必ず死ぬことを忘れるな」

全体的にドライで重厚。ロックに関してはradiusっぽいイメージを裏切らない。ドラムは中低域の膨らみをそれほど強調せず、どちらかといえば重低音の重み重視で、ドンを気持ちよく感じさせるバランス。ボーカルには自然な太さがあり、温もり感もあって、息遣いも温かく、ライブ感がある。音の輪郭を強調しすぎる感じがなく、ほどよく厚みがあるウォームな音色で聞き疲れる感じもなく浸れる。ギターは黒みのあるエッジ感があり、ギラギラしたドライで男らしいマッチョサウンド。

おすすめイヤーピース

この機種のノズルの太さは普通。比較的万能にイヤーピースを合わせやすい。

AZLA SednaEarFit

AZLA SednaEarfit

全体的にコントラスト感が改善され、シンバルが活き活き、ドラムも粘りが強くなり、バチバチした感じが増す。

Acoustune AET08

acoustune AET08

高域がマイルドになり、中域にまろみが出る。ボーカルの聞こえも改善され、やや前面に聞こえるようになる。

JVC SpiralDot++

JVC スパイラルドット++

軸がやや大きいので、付け心地はゆるくなるが、音場は広く、不足しがちなシンバルの空気感がそれなりに感じられるようになる。ボーカル周りもややスッキリする。

FAudio FA Instrument

FA Instrument

重低音方向に重心が下がり、中域下方向にやや密度感が出る。ギターのギラギラ感が増す。

FAudio FA Vocal

FA Vocal

やや中域が豊かになり、ドラムに膨らみが感じられるようになる。メリハリは少しゆるくなる。

radius DeepMount

radius deeo mount

この機種の標準イヤピ。中域は少しスリムになり、ボーカルがわずかに細い感じになる。音場は中域で少し狭まる。

【総評】JAZZ・ロック向きの適度な温度感と金属的手がかりがある

ピエゾ振動板の効果は金属的な手がかりの発色にもっとも効果を発揮していることは間違いないが、Noble Audio Khanのような明るい感じではなく、このイヤホンでは濃いめの質感で聞こえる。そのせいか、パーカッションには派手さを抑えた、落ち着いたJAZZ風の雰囲気を感じる。

結構シックな音作りで、躍動感を強調する感じではないので、ロックも少しマッチョな重厚感の強い感じで聴かせる印象がある。鈍いところもある濃い金属光沢音のせいもあって、中域に適度な濃度感があるので、意外と湿っぽい曲に聴き応えがあったりする印象を受けた。

radius HP-TWF41

7.3

高域

7.0/10

中域

7.0/10

低域

8.0/10

Pros

  • 金属音の鮮明さ
  • 適度な温度感のある音場
  • クリアな低域

Cons

  • 高域が暗い

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