【レビュー】SENNHEISER IE500 Pro:深く広がりを持つ重低音とディテールの緻密な中高域。ゼンハイザー渾身の正統派モニター

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免責事項

レビューは手持ちの機種と販売店舗さんのご厚意で試聴させていただいた範囲内の機種で作成しております。ケーブルは標準付属品のはずですが、セッティングは販売店舗さんにより異なる場合があります。イヤーピースは手持ちのものを使える場合は、それを用いてテストしております。レファレンスはJVC スパイラルドット++ Lサイズですが、機種によって使えない場合もあるかもしれません。使えない場合どうするかはその都度。

テスト機は基本的にAstell & Kern KANN CUBEを用いていますが、音質の特徴を捉えるために副次的にONKYO GRANBEATなど別のDAPも使っております。

一応解像度とかの比較用にイヤホンのレファレンスを定めていて、EarSonics ES5です。

 

スペック

  • ドライバー:ダイナミック型
  • ドライバー構成:1ドライバー
  • 周波数特性:6Hz – 20kHz
  • インピーダンス:16Ω
  • 感度:126dB

使用感

装着感

デザインはSHUREかWestoneあたりに大きく影響されている。いまさらこのデザインかって思うところはあるけど、装着感は良い。

遮音性

遮音性はこそこそこ高め。

ビルドクオリティ

ビルドクオリティは高い。バリはなく、接合面もきれい。ケーブルアダプタが独自規格なのだけが残念。

音質

総合:24/30
8/10

高域

8/10
8/10

はっきり明瞭。緻密で伸びも良い高域

  • 質感:ややクール、硬質
  • 明るさ:明るめ
  • 拡張性:良好
  • 派手さ:派手
  • 緻密さ:緻密

シンバルの粒が細かく、ツッという音が刻みよく繊細。高域の色味自体はレファレンスのES5よりは薄い。空気感はそれほど広がりが強調されないが、粒子の散る感じはきれいに出て、存在感がある。繊細緻密といった感じで抜けも意識されている。

中域

8/10
8/10

音場の広さを感じさせる清潔な中域

  • 質感:ややクール、清潔、ドライ
  • 明るさ:明るめ
  • 横幅:広い
  • 奥行き:広い
  • ボーカル:やや明るめ、抜けが良い

SENNHEISERのコンセプト的にはギタリストやボーカリスト向きとされているが、たしかにギターのエッジやボーカルの輪郭を丁寧になぞり、中域に清潔感を出して浮き上がりも良くしている印象を受ける。

基本的に中域は清潔で見通しが良く、音場はやや広めで明るい。音は少し中高域でパリパリして音の粒立ちや輪郭感を強調し、ドライな印象を受けるが、光沢感は明るめで砂粒っぽくなる感じはなく、ギラギラするといったほうが正確か。全体的にディテール重視で音を細く聴かせる。

低域

8/10
8/10

濃いめに厚く支える低域

  • 質感:ウォーム
  • 明るさ:暗め
  • 重心:低い
  • 重み:重い
  • 重低音:幅が広く、濃い、クリア

低域は中低域から深い方に向かうにつれ、広くなり、重低音が重く広く支えるバランス。重低音の濃い音が音場に深みを感じさせてくれる。その音は重く黒いが、低域全体はクリアで見通しよく、地熱感は意外と抑えめでノイズ感は丁寧に取り払われている。モニターライクな低域。

  • 【レビュー】Cayin YB04:Cayinらしい自然な音の繋がりと意識したイヤホン。さらに女声ボーカルの表現力は価格帯随一に近い

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    木製振動板が奏でる独特の温かみと豊かな情報量のあるディテールに満ちた音は、有機的でライブ感に満ちている。音の自然で豊かな広がりに空間性を存分に感じることができ、音楽を場そのものまるごと味わえるという贅沢なサウンドを持っている。とくに低域のディテール感は好みにもよるが、これより価格上位の機種でもここまでの上質な音はなかなか味わえない。 コスパも素晴らしく、本来は4~5万円クラスの製品だが、生産終了後は在庫処分品が3万円以下で手に入るようになっており、全イヤホン見回しても最高クラスの低域が格安で手に入る意義は大きい。 イヤホンでありながら、ホールで聴いているかのような臨場感を味わえるという贅沢感が最大の魅力だ。

おすすめイヤホン

官能性

上坂すみれ 「POP TEAM EPIC」

低域に黒みがしっかりあり、深いところで広く支える。低域がクリアで深いところまですっきり見通せるので、存在感の割に支配的な印象がなく、中域の広い音場を阻害しない。中高域は濃く、緻密でスピード感も充分。

ただしレファレンスのES5に比べると音の光沢感や色味、メリハリはよりきれいに聴かせてくれるので、こういう曲を中毒的に楽しむならES5の方がいいかな。ES5に比べるとIE500 PROの音はドライでジャリジャリ感が強めなので、ツヤツヤしてないあたりが物足りないのかも。好みによるんだろうけど。

SPYAIR 「サクラミツツキ」

中高域はドライに粒立ちを強調する。レファレンスのES5に比べると色味が抑えめでグレーな感じに聞こえる。マッチョで男らしい世界観が感じられるとも言えるが、個人的にはES5の鮮烈なシンバルやギター、ちょっと明るめに抜けるボーカルの感じが好きなので、ややもっさり気味で抜けが足りないような印象を受けるが、人によってはこのバランスの方がボーカルに自然な色味と温度感を感じられるという場合もありそう。

ヨルシカ 「藍二乗」

ロックではハイハットにドライな感じがあるので、暖かみが感じられる。ハイハットの刻みは細かく、色味もほどよく濃いので、この曲なんかチンチンからシャリシャリまで精彩が乗っていて楽しい。ギターもほどよく浮かれて抜けよく陽気に聞こえてくる。ドラムは床面で重く広がり、中低域の膨らみはセーブされている感じなので、下から湧き上がってくるような透明なリズム感がある。

ずっと真夜中でいいのに。 「君がいて水になる」

透明でクリアな低域を味わうなら、たとえばこの曲。深い水の底から音が透き通って沁み込んでくるような深さが感じられる。中高域当たりは明るく、見通しも良いので、上でも音が澄み渡っている。

大野雄二トリオ 「Love Squall」

色味を抑えたグレーな感じのせいか、JAZZはムード感が良く出ている。高域のドライな感じはJAZZの熱気を表現するのに向くし、低域には厚みと広がりがあり、しかもクリアでみずみずしい感じがあるので、コントラバスの音に張りと若さが感じられる。ピアノも適度に濃く、粒立ちよくピンピンと活きの良い音を奏でる。

藍井エイル 「月を追う真夜中」

高域は明るいものの、ドライでほどよい熱気を感じさせてくれる。ボーカルは少しクールに細身だが、発色はしっかりしている、低域の支えが良く、広がりが感じられて充実感がある。その広がりを足がかりにして、音が立ち上がっていくダイナミクスが感じられるので、立体感も充分。

おすすめイヤーピース

この機種のノズルの太さは普通。比較的万能にイヤーピースを合わせやすい。

AZLA SednaEarFit

AZLA SednaEarfit

低域がやや厚く、濃くなり、重厚感が増す。

Spinfit CP360

Spinfit CP360

全体的に音に光沢感が出てキラキラする。

JVC SpiralDot++

JVC スパイラルドット++

音場に広さが感じられ、音の広がりがよくなる。

final E-CLEAR

final E-clear

ボーカル周りがすっきり清潔になる。

AZLA SednaEarFit Light

少し抜けがよくなり、低域もやや分離良く感じられる。

acoustune AET08

acoustune AET08

高域が落ち着き、中域に濃さが出る。

【総評】正統派モニター。ボーカルとギター、シンバルを緻密に聴かせる

SENNHEISERっぽいかっていうと意外と微妙っていう機種。本当にモニター的な音で正統派だから、とくにSHUREあたりの音が好きな人は装着感もクリソツなせいか引き寄せられやすいかも。とはいえ、差別化されているかっていうと「そうでもないかな」っていうところもあって、むしろSENNHEISERらしい豊かな中域表現がすっぽりなくなっている感じがSENNHEISERファンからすると微妙って印象になるかも。音に厚みはないよね。

結局SHUREやらWestoneやらに似せてくるのはいいんだけど、SHURE好きはSHURE買うだろうし、WeatoneファンもWestone買うんじゃないかな。まあWestoneはあまり欲しくないBluetoothケーブル付けて無駄に高く売ってるから、Westoneサイドから流れてくる人はいるかも知れない。

重低音にしっかりした広がりを感じられるあたりはSENNHEISERらしくていいけど、SENNHEISERサウンドを「豊かな音」って捉えている人は、「これはなんぞ?」ってなるかも。

SENNHEISER IE500 Pro

8

高域

8.0/10

中域

8.0/10

低域

8.0/10

Pros

  • ビルドクオリティは高い
  • 中高域のディテールは細かい
  • 深く広がる重低音
  • 見通しの良い中域

Cons

  • 音に厚みがない
  • リケーブルが独自仕様

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