【レビュー】ULTRASONE SAPHIRE:パワフルで太い音が広い音場に林立する万能系イヤホン

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免責事項

レビューは手持ちの機種と販売店舗さんのご厚意で試聴させていただいた範囲内の機種で作成しております。ケーブルは標準付属品のはずですが、セッティングは販売店舗さんにより異なる場合があります。イヤーピースは手持ちのものを使える場合は、それを用いてテストしております。レファレンスはJVC スパイラルドット++ Lサイズですが、機種によって使えない場合もあるかもしれません。使えない場合どうするかはその都度。

テスト機は基本的にAstell & Kern KANN CUBEを用いていますが、音質の特徴を捉えるために副次的にONKYO GRANBEATなど別のDAPも使っております。

一応解像度とかの比較用にイヤホンのレファレンスを定めていて、EarSonics ES5です。

 

スペック

  • ドライバー:ハイブリッド
  • ドライバー構成:6ドライバー(低域 B.A.型×2 / 中域 B.A.型×1 / 域 B.A.型×1 /  超高域 静電型×2)
  • 周波数特性:10Hz – 50kHz
  • インピーダンス:25Ω
  • 感度:106dB

使用感

装着感

耳をしっかり覆い、なめらかな付け心地。

遮音性

遮音性高め。耳穴をしっかり覆う。

ビルドクオリティ

航空アルミの筐体は非常に滑らかに接合されており、ビルドクオリティは高い。

音質

総合:27/30
9/10

高域

9/10
9/10

濃く、暖かな高域。音に張りがあり、高くまで伸びる

  • 質感:ウォーム、濃厚
  • 明るさ:普通
  • 拡張性:かなり良い
  • 派手さ:やや派手
  • 緻密さ:緻密

金物の金属光沢が濃く、はっきりと太く、暖かい。高域は明るさは一定程度に抑えられているが、ディテールは細かく、一定の伸びを感じさせる空間の高さもある。シンバルの空気感はよく広がっているが、白味は抑えられているので、やや地味に感じるかも知れない。大人びたダンディズムのある高域といった感じ。

中域

9/10
9/10

奥行き感に優れた立体的な中域

  • 質感:ウォーム、ふっくら、太い
  • 明るさ:明るめ
  • 横幅:広い
  • 奥行き:広い
  • ボーカル:少し前、自然な太さ、明るめ

ボーカルはやや明るめで男声ボーカルは少しつやつやして聞こえるかも知れない。しかし下では一定の深みも出るので、中性的で不自然という感じではなく、濃さは丁寧に出ている。中域では音の輪郭はやや太めでしっかり根立ちを感じられるが、色味は明るめで艶やかクリアな印象を受ける。見通し感が良く、奥行き感がはっきりしている。色味は明るく、若干渋味が薄く感じられるので、ポップスやEDM向きな印象。JAZZは少し明るい感じに思うので、濃厚感に欠けるという人もいるかも知れず、好みによりそう。

低域

9/10
9/10

クリアに重低音が聞こえる。地熱感のあるバランスの良い低域

  • 質感:ややウォーム
  • 明るさ:普通
  • 重心:低め
  • 重み:重め
  • 重低音:色味はやや濃く、少し広い、地熱感あり

100hz~30hzまで厚い振動。20hzでほぼ無音。

重低音の音までクリアに聞こえる低域。そのため、地熱感もそれなりに感じられる。中低音には一定の厚みがあるが、それほど強調はなく、重低音をマスキングすることはない。暖かみもそれほど強調せず、ニュートラルな印象を受ける。バランスが良く、モニター的。

  • 【レビュー】CampfireAudio IO:ぶっとい眉毛のように中高域が目立つ独特の骨太な表現力を持つ。これが意外と面白い

    最初は中高域のインパクトにびっくりさせられて、「なんじゃこりゃ?」って思ったけど、聴き込んでみたら、むしろ楽しくてハマリました。これは個人的に「あり」です。 一番いいなって思ったのはやっぱりロックかな。ただボーカル周りの清潔感と濃厚感の出し方が意外とうまいんで、アニソンとかバラードとかR&BとかJAZZとか、案外悪くないなっていうか、これはこれで万能な音質かもしれないと思えるくらいにはちゃんと聞き心地を考えて作られています。妙な説得力があることは確か。
  • 【レビュー】iBasso IT04:バランスが良く、とくに低域や高域の設計は意外と煮詰めて作られていて、万能に聴ける印象。埋もれがちな機種だが、隠れた名機だ。

    日本ではDAPばかり評価されている感じのiBassoだが、実は密かに海外レビューで評価が高いのがこのIT04。各種レビューで「Great Sound!」と連呼されているので、「どんなもんかな」と興味を持ったけど、たしかにいろいろバランス良く、万能に音楽を楽しめる感じでフラッグシップとしてかなり成熟している印象を受けた。 どぎついところや変に不自然な演出感がなく、透明感や清潔感が大事にされていて、音場は広く、奥行きもあってリアリティがよく追究されている。日本ではほとんど無名に近く、埋もれた感じの機種になってしまっているが、これを埋もれさせるのは若干もったいない気がして、レビューした。 幸いなことにこのレビューを書いている2019年7月現在は価格も安定しており、手を出しやすい位置にいる。

おすすめイヤホン

官能性

水瀬いのり&久保ユリカ 「動く、動く」

全体として見るとニュートラルな色味。高域に温かみがあり、上から下まで一定の太さと透明感で音が聞こえるため、ボリューム感がありながら見通しが良い。高域のディテールは少し色味を抑えて、マイルドに聞こえるが、耳を凝らすと空気感も良く出ている。ボーカルの甘味を強く出しすぎることもなく、ほどよく甘く、ほどよく抜けが良く、自然でニュートラルな色味が絶妙。聞き苦しいところが全くない。そして自然な厚みと奥行き感が実現されている。

All That Jazz 「カントリーロード」

中域の見通し感がクリアで、やや歌謡曲的。まあ音源自体が元々ビッグバンドJAZZ風で歌謡曲っぽいので、これはむしろ原曲の雰囲気が素直に表現されていると見た方が良いのかも。個人的にはもう少し中域に濃度感が欲しいけど、音の太さや輪郭は良く、ボーカルも自然なので、このくらいのちょっと明るい感じでも悪くない。音に根立ちのよい立ち上がりがあり、高さも素直に感じられる。

Snail's House × Moe Shop 「Pastel」

音に一定の厚みと透明感があり、低域も量感は必ずしも多くないが、下まで自然に厚みと重みが届いている感じがあって、バランスが秀逸。スピード感も適切で見通しよく、奥行き感も丁寧に感じさせてくれるので、引き寄せられて包み込まれてしまうような没入感がある。

SPICY CHOCOLATE 「最後のPiece」

暖かみが一定程度あるので、こういうレゲエサウンドでも温度感がしっかり出る。見通し感も良く、楽器の定位が良く、分離も適切。ボーカルと楽器の距離感も良く、一体感があるのに輪郭ははっきり描かれているために、混濁する感じがない。低域も厚みがあるのに、中域から適度な距離を持って配置されていて、ワイドレンジな高低差があり、ほどよく分離されて味わえる。

大原ゆい子 「ゼロセンチメートル」

この曲もイイ。甘味ほどほど、透明感ほどほど、暖かみほどほど、太さほどほどで、ちょうどよい甘酸っぱさと温度感があって、見通しよく明るめに楽しめる、音は太く充実感もしっかりしているが、音場は広い。バランスが良く、粗がない。

大塚愛 「Chime」

この曲も粗がない。全体的に音の輪郭が良く、はっきり。自然な太さもあるので充実感があるが、見通しもよく奥行き感があるので、音が躍動する空間が感じられる。ボーカルも分離しすぎず、楽器との関係が良い。

おすすめイヤーピース

この機種のノズルの太さは普通。比較的万能にイヤーピースを合わせやすい。

AZLA SednaEarFit

AZLA SednaEarfit

低域に濃さが出て、全体が少し色味が締まって聞こえる

Symbio Eartips

Symbio Eartips

低域に厚みが出るが、高域が少し奥まった感じになる、JAZZなどで濃厚感が欲しいときにはこれで。

JVC SpiralDot++

JVC スパイラルドット++

見通し感がよくなり、音場の奥行き感も増して感じられる。

final E-CLEAR

final E-clear

ボーカル周りの清潔感が増す。

SONY TripleComfort

トリプルコンフォート

高域で抜けが良くなるが、低域の存在感は弱くなる。

acoustune AET08

acoustune AET08

高域がマイルドになり、中域に濃さが出て、ボーカルの甘味が増す。

【総評】パワフルで太い音だが抜けも良く、音場も広いので圧迫感がない万能サウンド

輪郭もしっかりした太い音が、奥行きと広さを持って配置されて聞こえるため、かなり没入感は高い。音の色味にかなりの濃さがあるにも関わらず、見通し感も良く、低域でもクリアに重低音まで聞こえる感じがあって、音楽の隅々までまるっと聴かせてくれる感覚もあり、非常に質が高い。空間を丁寧に構築しつつ、個々の音に対しては、根立ちをはっきりと、音の立ち上がりなどを意識して高さや太さ、輪郭に配慮しているあたり、質実剛健なドイツ気質も感じられて好ましい。

音に自然な太さと広がりがあるので、濃くはっきり充実しているのに圧迫感がなく、聞き疲れもしにくい。これはなるほどレベルが高いと納得させられる。

ULTRASONE SAPHIRE

9

高域

9.0/10

中域

9.0/10

低域

9.0/10

Pros

  • ビルドクオリティが高い
  • 装着感が良い
  • 広く奥行き感のある音場
  • 太く濃い音質
  • 高さが感じられる高低感に満ちた音質

Cons

  • 音場はややクリアすぎるかもしれない
  • 女声ボーカルはそれほど明るくなく自然

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