免責事項
- このレビューは誠実な品質レビューを読者に伝えるためにQCYから提供されたサンプルに基づいて書かれています。
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QCY T11Sの概要
こんな人におすすめ
- 繊細なサウンドが好き
- 明るいサウンドが好き
- シャカシャカしたサウンドが好き
- 高機能なアプリを使いたい
基本スペック
- 連続/最大再生時間:5h/35h
- 防水性能:IPX5
- 対応コーデック:aptX Adaptive/aptX/AAC/SBC
- 技適番号:210-147578
- 価格帯:5000円~10000円
- パッケージ:8.0/10.0
- ビルドクオリティ:8.5/10.0
- 装着感:8.5/10.0
- 高域:9.5/10.0
- 中域:8.0/10.0
- 低域:8.0/10.0
- 歪みの少なさ:7.5/10.0
- 通信品質:7.5/10.0
長所
- 繊細
- 鮮明感がある
- 比較的拡張性に優れる
- 機能的なアプリ
短所
- 充実感に欠ける
- シャカシャカした軽っぽい音
- 細くて華奢な音
- 金属質
QCY T11Sの特徴
- 【進化した次世代の Bluetooth 5.2 性能】 Qualcomm の 最新チップ QCC3046搭載モデル! T11Sは高音質・低遅延・安定通信・簡単操作で新次元のワイヤレステクノロジーを提供いたします。
- 【 デュアルドライバー が生み出す Hi-Fi 高音質 】 音響技術にこだわるQCY独自のチューニングにより、 低音域 が得意な「ダイナミック型」と 高音域 が得意な「バランスドアーマチュア型」を組合せた ハイブリッド型 ドライバーユニット が実現しました。
- 【 4基マイク搭載 ENC通話音質 】 4基(両イヤホンに各2基)の 全指向性マイク を搭載し、Bluetooth Ver5.2 の高精細な ENC ノイズリダクション機能 で周囲の雑音を効果的に低減し、より環境音に左右されにくいクリアで明瞭な HD通話音質 が楽しめます。
- 【 65ms 超低遅延 ゲームモード 】 通常モードに加え、さらに音遅延を感じない65msの 超低遅延 ゲームモード で 動画視聴、アクション系ゲーム をストレスなしに楽しめます。 ※低遅延モード時には再生時間、通信距離が通常より短くなります。
- 【 簡単操作で 初心者も安心 】 収納ケースの蓋を開けると自動電源オンと同時にデバイスと瞬時接続されます ケースに戻し蓋を閉じると自動電源オフになり、使用する際はイヤホンを取り出し耳につけるだけですので煩わしい操作は一切必要ありません。 ※初回のみデバイス側とのBluetooth接続設定が必要です。
公式プロモーション動画
パッケージ(7.5)
QCY T11Sのパッケージは全体として標準以上で、価格に十分見合っています。
パッケージ内容
付属品に不足はありません。パッケージには以下のものが含まれています。
- 本体
- イヤーピース
- 充電用ケーブル
- 説明書
ビルドクオリティ(8.5)
ビルドクオリティは価格を考えると、良好なレベルです。
手触りはツルツルとした白磁のような透明感のある温かみのあるデザインです。
装着感(8.5)
耳によく嵌り、装着感は快適です。
接続品質
aptXでCayin N6II/E02と接続してテストしました。接続品質は標準的です。
人混みに行ってないのでわかりませんが、 家庭内では安定しています。距離耐性も十分で、5mくらい離れても通信が途切れることはありません。遮蔽物を挟むと、一瞬通信が途切れます。接続は維持されていましたが、音楽を一貫して聞くのは難しいでしょう。
ホワイトノイズはわずかにあるかもしれませんが、おそらくほとんどの人が気になりません。
インターフェース/操作方法
操作インターフェースはタッチ式です。
電源ON | 充電ケースの蓋を開ける |
電源OFF | 充電ケースにイヤホンを収納し、ケースの蓋を閉じる |
ペアリング | イヤホンを電源ONにしたあと、接続先がない場合は自動でペアリングモード |
リセット方法 | ①イヤホンをケースに収納する ②ケースのボタンを10秒間長押しして、イヤホンのLEDが赤と緑に交互に3回点滅するのを確認する |
曲再生/停止 | 多機能ボタンを2回タップ |
曲送り | 左耳側の多機能ボタンを1.5秒長押し |
曲戻し | 右耳側の多機能ボタンを1.5秒長押し |
通話応答 | 多機能ボタンを2回タップ |
通話終了 | 多機能ボタンを2回タップ |
通話拒否 | 多機能ボタンを1.5秒長押し |
ボイスアシスタント起動 | 左耳側の多機能ボタンを3回タップ |
低遅延モード切替 | 右耳側の多機能ボタンを3回タップ |
アプリ
QCY T11SはQCYアプリに対応しており、音質とコントロールを自分好みにカスタマイズすることが可能です。さらにヘッドセットの位置情報を追跡し、ヘッドセットから音を鳴らすことで見つけやすくする検索機能はかなり便利です。
QCYアプリで可能なこと
- 音質のカスタマイズ
- コントロールのカスタマイズ
- 追跡機能
- ファームウェアアップデート
- ペアリング解除
- ファクトリーリセット
- デバイス情報の確認
音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。
オーディオステータス
周波数特性測定値から音質要素のステータスを抽出しました。特に注目すべき要素だけ簡単に説明します。
- Sibilance/Pierceは刺さり具合に影響するので高域に敏感な人は数値が低いものを選んだほうが良いでしょう。
- Fullness/Mudは中域を豊かに感じさせる要素ですが、中域が濁るのが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
- Boom/Punchは低域の存在感、量感に大きく影響するので、低域のうるさい感じが苦手な人は数値が低い方が良いでしょう。
音質解説
QCY T11Sは鮮明でマイクロディテールが強調された繊細な高域寄りのニュートラル系弱ドンシャリサウンドを聴かせます。明るく繊細なサウンドが好きな高域好きを満足させる可能性が高いですが、人によってはシャカシャカとした安っぽい音に聞こえる可能性もあります。また中域薄っぺらいので、全体的に細い音で華奢なサウンドに聞こえやすいでしょう。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
- イメージング:C80測定値に基づいて決定されています。(低域:50Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~10kHz;全体:50Hz~10kHz)[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。
低域(8.0)
- 原音忠実度:S-
- 臨場感:B
- 深さ:A-
- 重み:A-
- 太さ:B+
- 存在感:A-
QCY T11Sの低域は比較的深いところが強調されており、引き締まり感は悪くなく、レイヤリングに優れています。
しかし、THDが高く、明瞭度も高くないため、存在感のわりにはっきり聞こえない印象があり、シャリシャリと明るく目立つ高域に比べ、印象に欠けるため、低域好きを満足できるかは微妙なラインです。
中域(8.0)
- 原音忠実度:S
- 厚み:B
- 明るさ:B
- 硬さ:B
- 存在感:B
QCY T11Sの中域はかなりニュートラルですが、全体の中では少し凹んだ位置にいるため、ボーカルを中心とした音楽の心臓部は奥に引っ込んだように聞こえやすいところがあります。
高域で輝度が高く、繊細さはかなり強調されているため、少し暗く奥にいるにもかかわらず、ボーカルの歌詞や楽器のディテールはわりとよく聞こえます。
中域は厚みに少し欠け、充実感が足りないため、音が痩せやすく、人によっては安っぽく感じられるかもしれません。またボーカルの軸が弱く、力強さが感じられません。
高域(9.5)
- 原音忠実度:D+
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:B
- 荒さ:D
- 繊細さ:C
- 存在感:B+
高域は鮮明感や繊細さを強調するように調整されています。
粒立ちが非常に細かく、シンバルの音が繊細にクラッシュするサウンドは音楽が雪化粧をまとったように幻想的な印象を与えますが、音楽全体を白化させて聞かせるところもあります。
ギラツキ感も強めで、シャカシャカした音が嫌いな人には好まれないでしょう。わりと抜けが良いので明るい音の割に歯擦音が目立つ場面は相対的に少ないですが、それでも高域に敏感な人には刺激が強すぎる音かもしれません。
定位/質感
- 質感の正確性:S-
- 定位の正確性:A
- オーケストラのテクスチャ:B
- 雅楽のテクスチャ:B-
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco」(「Dvorak: The 9 Symphonies」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005]
- 雅楽:宮内庁楽部「越天楽」(「雅楽~平安のオーケストラ」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
フルオーケストラは質感は悪くありませんが、輝度が高すぎ、音がシャカシャカ浮ついて聞こえやすく、バイオリンも妙にガサガサしたドライな音に聞こえます。金管の音はきれいに聞こえますが、深みがなく安っぽく締りが悪い音です。また一般的な環境では音量的にもフルオケを満足に鑑賞できるほどの音圧は出ないようになっているようです。
雅楽も明るくて繊細ですが、いまいち深みのないサウンドです。和音がギラついてますが、全体的に細く実在感に欠ける音です。
音場/クリア感
- 音場:B+
- クリア感:B-
- イメージング:B
- 高域:B-
- 中域:B+
- 低域:B+
中域の奥行きは少し広く聞こえます。低域や高域の拡張性も価格の標準を満たしていると思われます
クリア感は標準的です。
イメージングは価格なりです。
音質総評
- 原音忠実度:A
- おすすめ度:A-
- 個人的な好み:A-
繊細な味付けは個人的にはなかなか好みですが、充実感の不足は気になるところです。最初は細かいところが金細工のようにきれいに聞こえる気がしても、長く聴いていると包容力に欠ける細い音がいまいちに思えてくれるかもしれません。
とはいえ、全体の原音忠実度は高めで、ニュートラルにも近く、バランスは悪くありません。少し明るくシャリシャリと聞こえる繊細な音が好きなら選択肢として考慮しても良いでしょう。オーディオスペックは総合的には価格なりです。
音質的な特徴
美点
- 繊細
- 鮮明感がある
- 比較的拡張性に優れる
欠点
- 充実感に欠ける
- シャカシャカした軽っぽい音
- 細くて華奢な音
- 金属質
繊細
鮮明感がある
良好な拡張性
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはFiiO M15でレコーディングにAntelope Audio Amariを用いています。コーデックはAptXで、標準イヤーピースを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Brüel & Kjær 1704 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- QCY T11S
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- QCY T11S
Formidable Enemy
- 原曲(-23LUFS)
- QCY T11S
総評
QCY T11Sは深みのある低域と繊細な高域を共存させる、いかにもハイブリッドドライバーモデルといった感じの音を奏でます。繊細な雰囲気が強調されやすいので、マイクロモニターサウンドが好きならおすすめできますが、大抵の曲でシャカシャカしたシンバルが目立ちやすく、高域が敏感な人には向きません。
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