免責事項
- このレビューは「私的な購入品」または「対価を払ってレンタルした商品」に基づいて書かれています。
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Fender Thirteen 6の概要
こんな人におすすめ
- ギター重視
- ライブハウスのような雰囲気で音楽を楽しみたい
- Fenderファン
基本スペック
- 周波数特性:8Hz~24kHz
- インピーダンス:34Ω
- 感度:112dB/mW
- ケーブルコネクタ:Talon 2pin
- 価格帯:100000円~200000円


- パッケージ:7.5/10.0
- ビルドクオリティ:7.5/10.0
- 装着感:6.5/10.0
- 高域:5.0/10.0
- 中域:6.5/10.0
- 低域:7.5/10.0
- 歪みの少なさ:8.0/10.0
長所
- 奥行き感がある
- ライブハウスのような熱気
- 濃厚感がある
- ギターが印象的
短所
- 籠もって聞こえやすい音
- もっさり、こってりしている
- 構築感に欠ける
- 拡張性に欠ける
- 解像度が低い
- ディテールに欠ける
- 小さな耳には合わないフィット
Fender Thirteen 6の特徴
新しいPro IEMシリーズは、「THRTEEN 6」「TEN 5」「TEN 3」「NINE 1」「NINE」の5モデルで構成され、ダイナミック型とBA型のハイブリッドドライバー方式を採用しています(NINEのみダイナミック型をシングルで搭載)。全モデルをテネシー州ナッシュビルの「Fender AUDIO DESIGN LAB」で設計しています。
最上位モデルとなる「THIRTEEN 6」は、3Dプリント・デジタル・ハイブリッド・テクノロジーによる、3層構造デザインのハウジング内に、大口径13.6mm径のHDダイナミックドライバーと、HDBAドライバーを6基(超高域×2、高域×2、中域×2)搭載するという、ラインアップ上最も革新的な技術を導入しています。
パッケージ(7.5)


今回はONZOのレンタル品なので、パッケージについては評価せず、標準の7.5とします。
パッケージ内容
公式サイトから引用。
クリーニングツール, 6.3mm/3極 変換プラグ, ハードケース,フォームイヤーチップ(3サイズ), TPEイヤーチップ (4サイズ),ピック(AUDIO DESIGN LAB) x1,AUIDO DESIGN LABステッカー x1




ビルドクオリティ(7.5)


外観のビルドクオリティは価格の標準は満たしています。






装着感(6.5)


私には装着感はそれほど悪く感じられませんが、耳が小さい人には収まらない可能性が高いです。






音質
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ(HATS内蔵)
- Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ・IEC60318-4準拠)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- 出力オーディオインターフェース①:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- 出力オーディオインターフェース②:Antelope Audio Amari
- 入力オーディオインターフェース:RME ADI-2 Pro FS R Black Edition
- アナライザソフト①:TypeDSSF3-L
- アナライザソフト②:Room EQ Wizard
REW周波数特性
Type E610A 711イヤーシミュレータ(カプラータイプ)でのREWによる測定値です。測定値はHATSの測定結果と比較校正されていますが、HATSを用いた当サイトの基準としている測定結果とは異なります。測定値は他サイト(主に海外レビューサイト)のレビューとの比較用に掲載しています。
当サイトのレファレンスの測定結果については有料記事を参照してください。
周波数特性(RAW)


周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。


オーディオステータス


※オーディオステータスは周波数特性(自由音場補正済み)から「各要素に関わる周波数帯域の平均値」を算出し、その特性平均値全体の「全体平均値」を求め、「各要素に関わる周波数帯域の平均値」の「全体平均値」からの乖離を数値化したものです。各要素の相対的な強さを表し、独自のオーディオ指標として導入しています。
制動
Fender Thirteen 6はアンプ側の出力インピーダンスが大きい場合、低域と超高域で影響を受けるようです。
測定値は有料記事をご覧ください。


音質解説
今回は標準イヤーチップ Lサイズを使い、FiiO M15で駆動してレビューします。
FenderがThirteen 6で目指したものは、周波数特性を見てみると、おおよそ理解できます。この山本陽介さんのインタビューレビュー記事で少しニュアンスが分かると思いますが、Fenderとしてはおそらくこの製品で、パフォーマー側というより聴衆側の視点で音楽を再構成して提示したかったんだと思います。楽器音の遠い感じ、響きの強い感じはライブハウスの籠もった空間表現の再現を意図してのものでしょう。
しかしそうだとしても、低域/高域両方の伸びが悪く、鮮明感に欠けるので、このイヤホンは非常に解像度の悪いサウンドしか実現できていない点は擁護できません。全体的にメリハリに欠け、高級機にふさわしいモニタリング能力があるとはとても言えません。3000円クラスでさえもこれよりはるかに優れた製品があります。私はこれを買うなら、AKIKI A3をおすすめしますね。実際にはドライバー数が多いのでそれぞれの音域の明瞭性は低価格機種より高いわけですが、それが効果的に作用しません。
レビューの各評価点の判断基準は以下の通りです。
- 原音忠実度:自由音場フラットに基づく判定値。どれだけ自由音場フラット(≒録音音源の再現度)に忠実かを表します。音域ごとに標準偏差から自動で算出、判定されています(低域:20Hz~200Hz;中域:200Hz~2.5kHz;高域:2.5kHz~20kHz;全体:63Hz~13kHz)[S+が最も原音忠実]
- 臨場感/深さ/重み/太さ/厚み/明るさ/硬さ/艶やかさ/鋭さ/脆さ/荒さ/繊細さ/存在感:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、各要素が聴感上ニュートラルからどれだけ強調されて聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[Bが最もニュートラルに近く、S+が最も強調度が高く、D-が最も強調が弱い]
- 質感の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、200Hz~2.5kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- 定位の正確性:自由音場補正値に80phon時の等ラウドネス曲線逆補正をかけた聴感周波数に基づく判定値。一般的に適正音量時、1.5kHz~8kHzがどれだけ聴感上ニュートラルに聞こえるかの期待度を表します。自動算出、判定されています。[S+が最もニュートラルに近い]
- オーケストラのテクスチャ/雅楽のテクスチャ:それぞれのリファレンス音源を用い、各リファレンスイヤホンからの音質差を聴感テストしています。なお、リファレンスイヤホンは参考用であり、S+ほどリファレンスイヤホンに近いというわけではありません。[S+が最も評価が高い]
- クリア感:THD測定値に基づいて決定されています。[S+が最も評価が高い]
これらの評価値は最終的なスコア算出に影響を与えますが、すべてではありません。


低域(7.5)
- 原音忠実度:S-
- 臨場感:B
- 深さ:B+
- 重み:A-
- 太さ:A-
- 存在感:B


Thirteen 6の低域は拡張性に欠けるため、膨張感があるのが難点です。パンチは強く力感がありますが、ディテールが伴ってないのでいまいちです。
おそらくFenderはベースとバスドラムの重量感を重視したのでしょうが、深みに欠けるため、ベースやキックの芯を捉えきれていません。ランブルも実在感に欠けますね。
ただ単に低域が出ているからと言って、それが低域好きを満足させるとは限りません。
むしろこの低域はベースやキックのためというより、ギターを引き立たせるためにこの浅さに設定されていると理解したほうが良いでしょう。熱気も強く感じられます。Fenderらしいギターへのこだわりを感じますが、個人的にはあまり感心しませんね。
中域(6.5)
- 原音忠実度:A+
- 厚み:A-
- 明るさ:A-
- 硬さ:B+
- 存在感:B


やや中低域が強調されていますが、ほぼニュートラルに近い構造をしています。しかし、中域上部はエネルギーが足りていません。
ボーカルは比較的前面に聞こえますが、エネルギッシュに聞こえすぎないように子音は抑制的に調整されています。Fenderの意図は明確で、ボーカルよりギターが目立つようになっています。
しかし、私なら、もっと中低域を減らし、高域を傾斜させて高くします。この調整では空気感が足りない上に中域下部が厚すぎるので、せっかく実現しているギターサウンドのコシの良さを十分に引き立てているとは言えません。
スネアのキレは悪く濁って聞こえますから、ロックはほぼ完全にギター優位で聞こえやすいですね。
高域(5.0)
- 原音忠実度:C-
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:C+
- 脆さ:C
- 荒さ:D-
- 繊細さ:D+
- 存在感:D


Fender Thirteen 6の高域ですか。私にはこの高域には死兆星が見えますね。
とにかくほとんどの要素が足りないので、音楽は精彩を欠きます。全体的に音が鈍く聞こえる最大の原因は高域にあり、それがとても高級機種とは思えないローファイなサウンドを生み出しています。
定位/質感
- 質感の正確性:B+
- 定位の正確性:C
- オーケストラのテクスチャ:D
- 雅楽のテクスチャ:A
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
- オーケストラ:Berliner Philharmoniker and Rafael Kubelik「Dvorak: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the New World” – IV. Allegro con fuoco
」(「Dvorak: The 9 Symphonies 」)[リファレンスイヤホン:AKG N5005 ] - 雅楽:宮内庁楽部「越天楽
」(「雅楽~平安のオーケストラ 」)[リファレンスイヤホン:final A3000]
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
ライブハウスのような狭い空間でフルオーケストラを聞きたいですか?私は聞きたくないですね。Fender Thieteen 6でフルオーケストラを聴くということはそういうことです。
雅楽は和音が少し曇ってますが、むしろ生々しく感じられるので悪くないでしょう。臨場感が感じられるくらいです。
グルーヴ/音場/クリア感
- 音場:A-
- クリア感:B+


音場は奥行き感が広く、ステージングは良いですね。アーティスト側ではなく完全に客席側の音場表現になっています。
クリア感は価格を考えると、もう少し欲しい気もしますね。悪くはありませんが。
音質総評
- 原音忠実度:B+
- おすすめ度:D
- 個人的な好み:A+


Clariar i640
残念ながら、Fender Thirteen 6を買う意味はほとんどありません。なぜならこのサウンドであれば、より低価格で十分に代替品が見つかるからです。レンジ感や解像感など高級機種が本来優位に立つべき要素でむしろ劣っているので、これが高価格である理由がありません。
このサウンドを作り出すのにFenderはもう少しドライバー数を調整して安くすることもできたはずですし、とくに高域の必要なところでドライバーを有効に機能させることもできたはずです。
ちなみにFender Thirteen 6の試聴の感想を探してみると、一部で「駆動は相当高性能なアンプでないとだめなようで、手持ちのオーディオ機器では鳴らしきれなかった」みたいなコメントがありますが、安心してください。このイヤホン、鳴らしにくいんじゃなくて、こんだけドライバー積んでるのに、ただ高域が死んでるだけです。なので、どんだけ高性能なアンプで聞いても、全体印象はほとんど変わりません。
個人的にはかなり好きな傾向の音ですが、こういうサウンドに払えるお金はせいぜい1万円までですね。
音質的な特徴
美点
- 奥行き感がある
- ライブハウスのような熱気
- 濃厚感がある
- ギターが印象的
欠点
- 籠もって聞こえやすい音
- もっさり、こってりしている
- 構築感に欠ける
- 拡張性に欠ける
- 解像度が低い
- ディテールに欠ける


奥行き感がある
ライブハウスのような雰囲気
印象的なギター
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはAntelope Audio Amariを用いています。出力インピーダンスは-0.3Ωで、イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
¥369,600(税込)
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- Bluetoothトランスミッター:FiiO BTA30
- オーディオインターフェース:Antelope Audio Amari
- レコーディングソフト:Audacity
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 楽曲名:浮遊大陸アルジェス -Introduction-
- アルバム名:Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008
- Copyright c Nihon Falcom Corporation


- 原曲(-23LUFS)
- Fender Thirteen 6
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 楽曲名:Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- アルバム名:英雄伝説 零の軌跡 Evolution オリジナルサウンドトラック
- Copyright c Nihon Falcom Corporation
![イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック [完全版]](https://i0.wp.com/m.media-amazon.com/images/I/81jXRkM29ZL._SS500_.jpg?w=1256&ssl=1)
![イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック [完全版]](https://i0.wp.com/m.media-amazon.com/images/I/81jXRkM29ZL._SS500_.jpg?w=1256&ssl=1)
- 原曲(-23LUFS)
- Fender Thirteen 6
Formidable Enemy
- 楽曲名:Formidable Enemy
- アルバム名:英雄伝説 零の軌跡 スーパーアレンジバージョン
- Copyright c Nihon Falcom Corporation
![イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック [完全版]](https://i0.wp.com/m.media-amazon.com/images/I/81OuvTqMT9L._SS500_.jpg?w=1256&ssl=1)
![イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック [完全版]](https://i0.wp.com/m.media-amazon.com/images/I/81OuvTqMT9L._SS500_.jpg?w=1256&ssl=1)
- 原曲(-23LUFS)
- Fender Thirteen 6
総評
Fender Thirteen 6は非常にニッチな製品で、あまり一般人向きではありません。ギターが大好きで、ライブハウスのような雰囲気でギターの味をとことん楽しみたいという人には向きますが、多くの人にはクセが強く、解像度も低くて、これに10万以上も支払うのが馬鹿らしい機種でしょう。私も個人的には嫌いじゃないサウンドですが、これに10万円出せる感じは全くありませんね。せいぜい1万円なら購入を検討するといったところです。
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