【完全ワイヤレスイヤホン Technics EAH-AZ60 レビュー】サウンドバランスは非常に優秀!Technics渾身のLDAC対応フラッグシップ
20000円~30000円Technics EAH-AZ60 2023.01.12
周波数特性/THD特性/ラウドネスステータス
測定値は有料記事をご覧ください。

オーディオステータス
Technics EAH-AZ60のオーディオステータス
※オーディオステータスは周波数特性(自由音場補正済み)から「各要素に関わる周波数帯域の平均値」を算出し、その特性平均値全体の「全体平均値」を求め、「各要素に関わる周波数帯域の平均値」の「全体平均値」からの乖離を数値化したものです。各要素の相対的な強さを表し、独自のオーディオ指標として導入しています。音質解説
今回は標準イヤーピース Lサイズを使い、FiiO M15とaptXで接続してレビューします。
Technics EAH-AZ60はニュートラルかつフラットに近いサウンドシグネチャーを持っています。
Technics EAH-AZ60 KiiBOOM EVOKEはマルチドライバーハイブリッドでありながら、滑らかでつながりの良い一貫性のあるサウンドにうまく調整されています。
今回はタイトーのプライズフィギュア「タイトー 初音ミク Princess AMP フィギュア~マーメイドver.~」を持ち出してみました。一緒に楽しむのはYAMAHA HPH-MT8です。
低域(9.5)
- 原音忠実度:S-
- 臨場感:B+
- 深さ:A-
- 重み:A-
- 太さ:B+
- 存在感:A-

Technics EAH-AZ60の低域は比較的深くまで伸びています。見通し感は悪くないですが、価格の割に解像度が良くないので立体的には聞こえません。
ドラムは重厚感に優れ、ランブルもかなり感じられますが、最も深いところは出ていないため、臨場感はいまいちです。
エレキベースも黒さは十分で広がりもよく、コントラストの起点になることができていますが、生々しさには欠けます。
価格を考えると優れた低域と言え、重低域マニアもかなり満足できると思いますが、本当の重低域マニアを満足させることは難しそうです。ただ、これは私が最近EarFun Air Pro 3を聴いているせいである可能性もあります。少なくとも本物の重低域がどんな音か知っている人には偽物に聞こえる音です。
Technics EAH-AZ60
Technics EAH-AZ60中域(9.0)
- 原音忠実度:S-
- 厚み:B
- 明るさ:B
- 硬さ:B
- 存在感:B

Technics EAH-AZ60の中域は非常に良く調整されており、質感は非常に正確かつ定位感にも優れ、全体の原音忠実度も高いため、少なくともサウンドバランスの上では理想的に近いです。しかし、最大の欠点は解像度が非常に低い水準にあり、音楽が平面的で立体感に欠け、まったく生き生きと聞こえないという点にあります。
正直2万円以上もするのに解像度が悪すぎて、聞いているだけであくびが出てくるような平面的でのっぺりした音です。クラシックを聴いてもポップスを聴いてもとにかく低解像で表現に深みがなく、いくらコーデックでLDACに対応していても、こんなに解像度が低いのではその良さを全く生かせません。
中低域で歪が多い影響も受けており、ノイジーな感じもある中域で、中域自体の透明度は優れているのに、印象的には透明度に欠けて聞こえます。
JVC HA-AE5Tのような中域で非常に優れたイヤホンと比べると、あまりに解像度が低くて安っぽく聞こえるので、聞く気はすぐに失せますね。
せっかく優れたサウンドバランスを実現しているのに、それだけで力尽きたのかもしれませんが、なんでこんな低解像の音でリリースする気になったのか謎です。
私のこれまでの測定実績から判断すると、たぶん低解像の原因はバイオセルロース振動板を採用したせいだと思われますから、EAH-AZ70と同じグラフェンコートPEEK振動板かほかの金属素材を使ったほうが良かったんじゃないでしょうか。本当に惜しいですね。
Technics EAH-AZ60
Technics EAH-AZ60高域(9.5)
- 原音忠実度:C+
- 艶やかさ:B
- 鋭さ:B
- 脆さ:B-
- 荒さ:D+
- 繊細さ:C-
- 存在感:B-

高域はよく調整されており、定位感は非常に正確で拡張性にも優れています。
高域は低歪であるせいもあってか解像度も優れた水準にあり、ハイハットの広がりや煌めきが比較的はっきりと聞こえます。
また倍音のつながりもかなり自然で音像一貫性の点でも優れている水準にあります。
Technics EAH-AZ60
Technics EAH-AZ60定位/質感
- 質感の正確性:S+
- 定位の正確性:A
- オーケストラのテクスチャ:B+
- 雅楽のテクスチャ:B+
定位と質感は以下の音源によって聴感テストされています。また質感についてはそれぞれリファレンスとするイヤホンは以下の通りです。
オーケストラではコンサートマスターと指揮者の位置関係、チェロとバイオリンのバランスを重視しています。雅楽では篳篥の音が最も力強く聞こえること、とくに「塩梅」がきれいに聞こえることを重視しています。
この項目は各言語音の音域に対応し、西洋音楽(および洋楽)が好きな人はオーケストラのテクスチャを、日本の伝統音楽(および邦楽)が好きな人は雅楽のテクスチャを重視すると満足度が高いでしょう。
サウンドバランスは非常に優れていてかなり理想的なのですが、わざわざ2万円以上出してこんな低解像のサウンドを聴きたいとは私は思いません。悪くないですが、価格に見合ってはいません。
同様の理由で雅楽もあまりよくありません。
Technics EAH-AZ60
Technics EAH-AZ60音場/クリア感/イメージング
深さは標準かやや物足りず、中域で少し奥行きが強調され、高域の拡張性は標準程度です。
クリア感は価格の標準を満たしています。
イメージング性能はエントリークラス並みで価格の水準に全く届いていません。中域で解像度が低いのも良くないですね。

音質総評
Technics EAH-AZ60
Technics EAH-AZ60Technics EAH-AZ60はサウンドバランスで非常に優れているため、周波数特性だけ見るとかなり魅力的に思えます。ただ解像度が低すぎて、立体感のない安っぽい音に聞こえるので2万円の価値はありません。
音質的な特徴
美点
- 優れたサウンドバランス
- 優れた原音忠実性
- 良好なレンジ感
- 重厚
- 優れた質感
- 優れた定位感
欠点
- 非常に低解像で価格に見合わない
- 平面的で表現が薄っぺらい
- 音の生々しさに欠ける

Technics EAH-AZ60
Technics EAH-AZ60
Technics EAH-AZ60
Technics EAH-AZ60
Technics EAH-AZ60
Technics EAH-AZ60
Technics EAH-AZ60
POP UP PARADE 天穂のサクナヒメレコーディングシグネチャー
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。レコーディングシグネチャーのソースはFiiO M15でレコーディングにAntelope Audio Amariを用いています。コーデックはLDACで、イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使用しています。
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- 原曲(-23LUFS)
- Technics EAH-AZ60
- JVC HA-AE5T
Get Over The Barrier! -EVOLUTION!!-
- 原曲(-23LUFS)
- Technics EAH-AZ60
- JVC HA-AE5T
楽曲情報
- 楽曲名:Formidable Enemy
- アルバム名:英雄伝説 零の軌跡 スーパーアレンジバージョン
- Copyright c Nihon Falcom Corporation
Formidable Enemy- 原曲(-23LUFS)
- Technics EAH-AZ60
- JVC HA-AE5T
総評
Technics EAH-AZ60はニュートラルかつ原音忠実性が高い非常に優れたサウンドバランスを実現している完全ワイヤレスイヤホンです。ただし価格に見合わないほど低解像なサウンドなため、せっかくLDACに対応しているにも関わらず、そのコーデックの良さを引き出すことはあまりできません。

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